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抄読会 2016/9/26

投稿者 : HP管理者

カテゴリ : お知らせ

本日の抄読会では、中国の高校生330名を対象に、1年間の行動抑制システム(Behavioral inhibition system: BIS)と行動活性システム(Behavioral Activation System: BAS)と感情調節の関係性を検討した論文がとり上げられました。15歳から20歳までの高校生に対し、ある時点(T1)とその一年後(T2)に抑うつ症状、BIS/BAS、感情調節に関する質問紙用紙に回答を求めた結果、T1,T2の双方において、BISと抑うつ症状、感情調節との間に有意な相関が認められました。一方でT1,T2の双方においてBASと抑うつ症状および感情調節に有意な相関は認められませんでした。さらに、構造方程式モデリングによって、そのメカニズムを検討した結果、BISは感情調節を介してT1の抑うつを高め、その抑うつの強さがT2の抑うつの変動の一部を説明することが明らかになりました。このことから、BIS/BASと感情調節を介入標的とする重要性が示唆されました。本論文の抄読を受けて、当医局では縦断研究における統計解析の手法の妥当性とBIS/BASと感情調節が特性なのか状態なのかという点について活発な議論がなされました。

 

Li, Y., et al. Effects of the behavioral inhibition system (BIS), behavioral activation system (BAS), and emotion regulation on depression: A one-year follow-up study in Chinese adolescents. Psychiatry Res 2015.

Dec 15;230(2):287-93. doi: 10.1016/j.psychres.2015.09.007. Epub 2015 Sep 10.