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抄読会 2016/8/29

投稿者 : HP管理者

カテゴリ : お知らせ

本日の抄読会では、ボーダーラインパーソナリティ障害と診断された者に対する心理療法(Mentalization-based treatmentMBT)とStructured clinical managementSCM))の治療効果をランダム化試験で比較した論文が取り上げられました。18歳から65歳までのボーダーラインパーソナリティ障害と診断された168名のうち除外包含基準を満たした134名が解析の対象となりました。論文の詳細を見ると、参加者は虐待歴や自傷行為の頻度が高い重度の者が多数を占めていました。それぞれの心理療法的介入後の入院期間、自殺企図、自傷行為の頻度は両群ともに低減しており、各療法の有用性が認められました。さらに、MBTSCMの治療の効果は,双方とも時期によって高まり(長時間その治療を受けるほど症状が低減し)、さらに群を比較すると、MBTの効果の方が即効性が即効性があることが示されました。本論文の抄読を受けて、ボーダーラインパーソナリティ―障害と診断された者の治療の難しさと、薬物療法を含めた有効な治療法について議論されました。

 

  MBT(メンタライゼーション療法)

MBTとはこのような自分や他の人の心の働きを理解する能力を上げる治療法。メンタライジング能力が向上することで、行動コントロールの改善、感情コントロールの改善、親密で心地よい人間関係を形成、人生の目標追求する能力を高めることができるとされています。

  SCM(構造化されたマネジメント治療)

イギリスの国立医療技術評価機構(NICE)によって推奨されている標準的な治療法

 

Bateman, A., et al. Randomized controlled trial of outpatient mentalization-based treatment versus structured clinical management for borderline personality disorder. Am J Psychiatry 2009. 1355-1364.  

doi: 10.1176/appi.ajp.2009.09040539. Epub 2009 Oct 15.