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抄読会 2016/6/6

投稿者 : HP管理者

カテゴリ : お知らせ

本日の抄読会は「パーソナリティ特性(気質と性格)とwell-beingの関連」をテーマに3篇の論文が取り上げられました。1つ目は、フィンランドの地域住民1940名を対象とした大規模研究の質問紙調査でした。重回帰分析の結果、自己志向および協調がwell-beingと関連していることが示されました。2つ目は、エルサルバドルの国立大学の大学生135名を対象に質問紙調査を行った研究で、構造方程式モデリングの結果、損害回避と固執と自己志向とWell-beingの関連が欧米と同様の構造をとることが示されました。3つ目は、ニュージーランドの49歳から51歳の地域住民404名を対象に行われたコホート研究でした。階層的重回帰分析の結果、Well-beingが高い状態の強い予測因子となりうるパーソナリティ要因は損害回避の低さと自己志向の高さであることが報告されました。この研究の結果は、イギリスからの報告と類似する結果となりました。

これら3つの論文の抄読から、well-beingを向上させるためのパーソナリティ特性は世界各国で共通して、自己志向の高さと損害回避の低さであり、その他のパーソナリティ特性は地域や文化の影響を受けることが考察されました。これを受けて、医局内ではパーソナリティという変容が困難な要因に対してどのように臨床的に対応していくかが議論となりました。先行研究によれば、パーソナリティ特性として考慮するのではなく、認知や行動として自己志向や損害回避を扱うことで介入の可能性があるのではないかということが示されているようです。

 

1)    Josefsson, K., et al. Associations of personality profiles with various aspects of well-being: a population-based study. J Affect Disord. 2011 Sep; 133(1-2):265-273.

2)    Garcia, D., et al. International note: temperament and character's relationship to subjective well-being in Salvadorian adolescents and young adults. J Adolesc. 2013 Dec; 36(6):1115-1119.

3)    Spittlehouse, J. K., Temperament and character as determinants of well-being. Compr Psychiatry. 2014 Oct; 55(7):1679-87.