本日の抄読会では，パニック障害患者に対する心理療法の効果をランダム化比較試験で検証した論文が取り上げられました。アメリカのCornell大学病院とPennsylvania大学病院に通院する201名のパニック障害と診断される患者に対し，応用リラクセーション（ART）群と行動療法（CBT）群と精神力動的精神療法（PFPP）群に分けその効果を比較しました。その結果，ART群において重症パニック患者群のドロップアウト率が統計的に有意に高いことが示されました。他方で，その効果量は各治療群で有意差は認められませんでした。最も一貫した治療効果が得られた方法はCBTであったものの，パニック障害患者に対するPFPPの効果が期待されることも示されました。本日の抄読を受けて，それぞれの精神療法の効用と限界および実臨床での適用についての観点で活発な議論が交わされました。

Milrod, B. et al. Psychotherapies for panic disorder: a tale of two sites. J Clin Psychiatry. 2015 Jun.