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抄読会 2016/4/18

投稿者 : HP管理者

カテゴリ : お知らせ

本日の抄読会では「ベンゾジアゼピンの使用と認知症発症の関連」をテーマに近年BMJに掲載された3編の論文が抄読されました。

1編目は、フランスの地域住民を対象に15年間の前方向的に追跡した結果、1063名中253名が認知症と診断されました。コックスハザードモデルによる解析の結果、研究参加後に新規にベンゾジアゼピン系薬剤(BZD)の内服を始めた群は、非使用群と比較して発症リスクが統計的に有意に高いことが示されました(HR 1.46, 95.%CI1.10-1.94)。

2編目は、カナダの地域住民で,最低6年以上の追跡調査によりアルツハイマー型認知症(AD)と診断された患者1798名と年齢、性別をマッチさせた66歳以上の地域住民7184名が対象となりました。多重ロジスティック回帰分析の結果、過去のBZDの使用歴(adjusted OR 1.51, 95%CI1.36-1.69)と中用量の使用(adjusted OR 1.32, 95%CI 1.01-1.73)、高用量の使用(adjusted OR 1.84, 95%CI 1.62-2.08)は、AD発症の有意なリスク要因であることが検証されました。

 3編目は、アメリカの地域住民を対象として10年間の追跡調査を行い、3434名のうち797名が認知症(そのうち637名がAD)と診断されました。コックスハザードモデルによる多変量解析の結果、BZDの低用量内服は認知症発症時間との有意なリスク要因であることが示されたものの(HR 1.25, 95%CI1.03-1.51)、中~高容量の内服のリスクは統計的に有意差ではありませんでした。

 これらの研究は、対象となった地域的な背景の違いや研究デザインなどの違いがあり一概には比較できない点や、BZDの単独の作用か他の薬剤や要因が交絡しているのかなどの点が不明瞭な点もありました。BZDと認知症の関連については現時点では明確な結論を得ることは困難であり、今後さらなる検討が必要と考えられます。

 

1)    de Gage, Sophie Billioti, et al. Benzodiazepine use and risk of dementia: prospective population based study. bmj 2012 345. e6231.

doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.e6231 (Published 27 September 2012)

2)    de Gage, Sophie Billioti, et al. Benzodiazepine use and risk of Alzheimer's disease: case-control study. bmj 2014 349. g5205.

doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.g5205 (Published 09 September 2014)

3)    Gray, Shelly L., et al. Benzodiazepine use and risk of incident dementia or cognitive decline: prospective population based study." bmj 2016 352. i90.

doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.i90 (Published 02 February 2016)