診療案内はこちら ⇒ 東京医科大学病院 小児科・思春期科
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当教室は100年以上の歴史があり、大正7年に清水茂松教授により創設され、飯島孝教授、本多煇男教授、星加明德教授、河島尚志教授に引き継がれ、令和4年4月1日より第6代目の主任教授として私が着任し現在に至ります。大学の使命である「診療」「研究」「教育」について、私の考えを織り交ぜながら当教室を紹介します。
周産期から思春期までを見据え、患者ごとの症状や不安や悩みに対応できるよう診療体制を整えています。私の専門である小児神経領域を中心に、心身・精神、免疫・アレルギー、腎・消化器、新生児、遺伝、先天代謝など、各領域のスペシャリストと共に、安全・安心で質の高い医療が受けられる体制を提供しています。
単に治療するだけではなく、大学病院としての役割を果たすため、リサーチマインドを意識しながら診療する一方で、次世代シーケンサーをはじめ遺伝子診断を積極的に活用し、侵襲的な検査を回避することで患児に負担のない医療を心掛けています。遺伝子治療やバイオ医薬品などの高度医療を導入しつつ、遺伝相談や心理相談などを行い、全人的な医療を念頭に診療に従事しています。
当科では日本小児科学会専門医を取得した上で少なくとも一つ以上のサブスペシャリティーを取得することを勧めており、「小児神経専門医」+「てんかん専門医」などの神経領域だけではなく、様々な領域に興味を持つことで視野を広げた診療を行うよう努めています。サブスペシャリティーを獲得した上で、さらに特定の分野を極めるため、国内外への留学の実績もあります。
是非いろいろなことにチャレンジしてください。
私どもの教室の強みは自施設にて早期診断のためのバイオマーカー測定や各種免疫解析、ウイルスPCR定量を迅速に行うことができることです。また、新生児気管支鏡、近赤外線スペクトロスコピー、小腸カプセル内視鏡、長時間ビデオ同時脳波記録、非観血的連続血圧測定器などの特殊な検査をベッドサイドにて行い、患児の診断に直接結びつく臨床研究が日々の診療の中で行うことができます。基礎研究に興味がある場合は、東京医大の院内、院外を問わず、共同研究を行うこともできます。希少疾患に対してiPS細胞を用いた細胞治療やメタボローム解析、また、ゼブラフィッシュを用いた遺伝子疾患の病態解明など院内の先生方と共同研究を行っています。学外の施設とは小児中枢性疾患の血液脳関門3次元培養モデルによる解析、高精度モーションキャプチャを用いた歩行障害の検討なども行っています。
研究は机の上にいるだけではできません。私の場合は神経に関心があるものの脳波が苦手で、何とか脳波以外にけいれんを評価する方法はないかと模索している時に「サイトカイン」に出会いました。てんかんに対し免疫学的にアプローチするという斬新な切り口が評価され、官民の競争的研究資金(科研費、てんかん財団、川野財団)を獲得することでき、大きな自信に繋がりました。
患者と向き合い、なんとか治したいという思いから「自然と生まれる」のがリサーチマインドです。
あまり難しく考えず、まずは一歩を一緒に踏み出してみましょう。
研究に興味のある方は大学院のHPもご覧ください。
東京医科大学大学院医学研究科ホームページ
https://www.tokyo-med.ac.jp/graduate/
小児科・思春期科学分野ホームページ
https://www.tokyo-med.ac.jp/med/course/41.html#link
「何故」を常に意識し、実臨床のみならずリサーチマインドを育むような教育を心掛けています。小児科は全身を扱う分野であり、その多様性から、小児科医自身も生涯学び続ける必要があります。教えることが自身の学びに繋がることを信条に教育し、卒後研修センターから2年連続感謝状を授与され、ベスト指導医にも選出されました。当教室はベストティーチャーを代々受賞している実績もあります。
医局会やウィークリーレクチャー(最近のトピックスを絡めて20分程度の動画配信)、さらに若手が自発的に行うクルズスなど様々な学びの場を通して、私自身が毎日のように新鮮な知識を吸収させてもらっています。
日々進歩する医学に対応するためには他施設との知的交流も欠かせません。国立成育センター、埼玉県立小児医療センター、国立国際医療研究センター、千葉県こども病院、日本医大、女子医大、河北病院などとも積極的に勉強会や研究会にて交流しています。専門医が不在の分野(血液腫瘍や循環器)に関しては他施設(国立成育センター、埼玉県立小児医療センター、国立国際医療研究センターなど)と研修プログラムを構築するだけではなく、緊密に連携しています。すべての領域の疾患に対応できる小児科医になれるよう応援しています。
近年、次世代シーケンサーや画像診断の進歩に伴い診断技術は飛躍的に向上しました。しかしながら、検査に頼りがちな側面も否めません。目の前の患児にしっかりと向き合い、臨床診断学も育まれるよう、各領域のスペシャリストと共に指導します。
今後はITツールの活用しVR(仮想体験)やロールプレイ形式の導入も検討しています。学生→初期・後期研修医→指導医という一連の流れの中で、途切れることなく、双方が成長し続ける関係を築いていきたいと考えています。 円滑かつ継続的に教育・研究・診療のバランスを保つためには、ワークライフバランスは大切です。ここ10年の離職率は0.06%、産後復職率は96%であり、私たちの教室は働きやすい環境であると思います。
患者個々のニーズに合わせた適切な医療の提供をするため医局員一同、日々努力し続けています。
小児科専門医の到達目標を目指し、是非、我々と一緒に、子どもたちのために頑張りましょう。
小児科・思春期科学分野
主任教授 山中 岳