研修システム

  • トップ
  •  › 
  • 研修生・医局員募集
  •  › 
  • 研修システム

耳鼻咽喉科・頭頸部外科研修プログラム

1.耳鼻咽喉科・頭頸部外科の特徴

2016年に創立100周年を迎えました。当医局も2016年9月に100周年を迎えました。歴史ある医局ですが、2015年8月に塚原教授が就任し、新体制になり5年が経過しました。2022年4月現在、医局員56人が在籍し、17人(約30%)が女性医師です。医局員の年齢・性別の構成を示します(表1)。出産後に職場復帰している医師も多数います。日本耳鼻咽喉科学会認定専門医は受験資格取得後全員が取得し、研修指導医は18人で専門医は28人在籍しています。
耳鼻咽喉科・頭頸部外科の担当する疾患は、悪性腫瘍、感覚器障害(平衡覚、聴覚、味覚、嗅覚)、感染症(上気道)、コミュニケーション障害(聴覚、音声)、嚥下障害な ど多岐にわたります。これら多くの疾患についての知識を得、小児から高齢者まで幅広い年齢層の患者の治療に当たるためには、実際に多くの臨床現場で研修することが必要です。当科では年間約1000名の入院例、600件以上の手術例があり、多くの臨床経験が可能です。また当科は多くの専門外来が設置され、専門スタッフによって臨床研究、基礎研究を行っているため、耳鼻咽喉科・頭頸部外科の多彩な領域をまんべんなく研修することが可能です。

表1 年齢・性別の構成

年齢(歳) 〜30 31〜35 36〜40 41〜45 46〜50 51〜 合計
性別
人数 8 9 14 5 8 2 3 1 2 0 4 0 39 17

2022.4 

主な特徴
頭頸部がん手術 全国3位 大学病院1位   (週刊朝日MOOK「手術数で分かるいい病院2021」)
人工内耳手術 全国2位          (週刊朝日MOOK「手術数で分かるいい病院2021」)
人工内耳手術累積日本1位
耳鼻咽喉科患者数 全国2位        (桜の花出版「国民のための名医ランキング2021~2023」)

2.研修目標

当院耳鼻咽喉科・頭頸部外科では基本的に日本耳鼻咽喉科学会認定専門医(以下、耳鼻咽喉科専門医)取得を視野に入れた研修を行います。これは4年間の研修の後に受験資格が得られるため、後期研修は一般に定められた3年間ではなく、4年が望ましいと考えています。(個々の希望に応じた対応が可能であるため研修指導者に問い合わせください)
入局後1年間は東京医科大学病院(場合により東京医科大学茨城医療センターまたは八王子医療センター)で耳鼻咽喉科全般に関する研修を行います。外来での研修と病棟での研修、良性疾患(主に耳科、鼻科領域、急性感染症、良性腫瘍)を診療するチーム、悪性腫瘍を中心とした頭頸部外科を診療するチームを交代に研修を行います。2年目からは適宜関連施設(関連施設の項参照)で耳鼻咽喉科全般を研修し、4年目からは希望する後述のプログラムに沿った研修を行います。(医局員や入局者の人数により多少プログラムの変更の可能性があります)関連施設にて研修している間も、週に半日から1日、選択したプログラムに相当する大学病院の特殊外来や関連した研究に参加可能です。

3.スケジュール

以下に大学病院における1週間単位の病棟スケジュールと外来スケジュールを示します。

1) 入院患者担当医のスケジュール

    月曜 火曜 水曜 木曜 金曜 土曜
AM 8:00 教授回診   術前・入院検討会 術後・症例検討会    
9:00 手術/病棟 手術/病棟 教授外来
病棟
手術/病棟 教授外来
手術/病棟
 
PM 13:00 手術/病棟 手術/病棟 教授外来
病棟
手術/病棟 手術/病棟  
18:00 医療安全
会議
院内研修会 Cancer board 医局会
勉強会
   

2) 外来スケジュール

    月曜 火曜 水曜 木曜 金曜 土曜
AM 8:00 カンファレンス
(人工内耳)
  術前・入院検討会 術後・症例検討会 カンファレンス
(人工内耳)
 
9:00 一般外来 遺伝難聴
睡眠時無呼吸
PM 13:00 特殊外来  
難聴嚥下
嗅覚味覚
めまい 腫瘍 アレルギー
音声
中耳炎  
17:00 カンファレンス
(無呼吸)
カンファレンス
(めまい・人工内耳)
カンファレンス
(腫瘍)
カンファレンス
(音声)
カンファレンス
(中耳炎)
 
18:00 医療安全
会議
院内研修会   医局会
勉強会
 

※毎週火曜日午後6時からの院内研修会は必修です。
※ BLS+AED,ICLSインストラクターの実施は必修です。

4.取得できる資格

耳鼻咽喉科・頭頸部外科には現在、日本耳鼻咽喉科学会認定耳鼻咽喉科専門医制度があり、後述のいずれのコースを選択しても資格を取得することができます(専門医認定試験を受験する必要があります)。またその他に日本気管食道科学会認定気管食道科専門医(以下気管食道科専門医)、日本頭頸部外科学会頭頸部がん専門医(以下頭頸部がん専門医)の2つの専門医制度があります。そのほかに、耳科手術指導医、鼻科手術指導医、めまい相談医、めまい専門会員、補聴器相談医、補聴器適合判定医、アレルギー学会専門医、睡眠専門医、臨床遺伝専門医、嚥下相談医、癌薬物療法専門医、甲状軟骨形成術認定医、音声言語認定医などの取得もできます。

5.処遇・待遇(給与、院外勤務など)

・初期の 3年間は後期研修医として月額 20万円が支給されます。
別途、夜勤手当10200円、待機手当3300円、呼び出し手当3300円
・ 耳鼻咽喉科の基本的な知識を習得後、週1日(半日ずつであれば2日)の院外勤務が可能です。これに対する給与は勤務先から支給されます。
・ 健康保険、厚生年金、労災保険に加入します。
・4年目以降の処遇に関しては、病院の規定に従います。
・2年目以降、関連施設での研修となった場合、各病院の規定に従います。

6.海外留学・海外研修・国内研修

年単位の海外留学はもちろんの事ながら、おもに臨床研修を中心とした、2-3か月の短期留学も推奨しています。また国内の大学や癌研究会付属病院などの癌専門施設での研修も可 能です。以下におもな留学・研修先を記します。

海外
オーストラリア メルボルン大学 人工内耳研究
ドイツ シャリテー大学病院(旧ベルリン自由大学) 平衡生理学
スウェーデン 王立カロリンスカ研究所 平衡、聴覚生理学
アメリカ ペンシルバニア大学 腫瘍遺伝子学
エール大学 喉頭学、頭頸部腫瘍学
ミネソタ大学 側頭骨病理学
スタンフォード大学 鼻科、睡眠時無呼吸
カルフォルニア大学サンディエゴ校 耳鼻咽喉科 臨床
カナダ トロント大学 聴覚生理学
フィンランド ヘルシンキ大学 耳鼻咽喉科 臨床
ほか
国内
がん研有明病院 頭頸科
国際医療福祉大学三田病院 頭頸部腫瘍センター
国立がんセンター東病院 頭頸部内科/頭頸部外科
国立がんセンター中央病院 頭頸部外科

7.関連研修施設一覧

東京医大茨城医療センター(茨城県稲敷郡)、東京医大八王子医療センター(東京都八王子市)、厚生中央病院(東京都目黒区)、戸田中央総合病院(埼玉県戸田市)、西東京中央総合病院(東京都西東京市)、新座志木中央総合病院(埼玉県新座)、三愛病院(埼玉県さいたま市)など

これらの施設はいずれも関東に位置しており、前述した週一回の大学病院での研修、研究 はいずれの病院に勤務していても可能です。

8.医局の年中行事

4月 新医局員歓迎・医療連携の会
6月 医局旅行
7月 納涼会
<夏期休暇 ― 7月から10月。全員2週間*の夏期休暇をとります。>
*1週間×2回
10月 医療連携の会
12月 忘年会
<冬期休暇 ― 12月から3月。全員1週間の冬期休暇をとります。>
1月 新年会・多施設連携の会
2月 OB総会(三三会総会といいます)
(コロナの影響で変更の可能性あり)

8.各研修プログラムの特色

前半の3年間で耳鼻咽喉科・頭頸部外科のあらゆる分野の基本的な技術を学んだ後、それぞれの領域に重点を置いた研修へ移行。しかしながら各コースの限られた領域のみだけを研修するのではなく他領域に関しても同時に研鑽を積むことができます。

1.耳鼻咽喉科専門医取得・頭頸部外科研修コース

主な指導者:塚原清彰(主任教授)、清水顕(臨床准教授)、岡本伊作(准教授)、岡田拓朗(講師)、渡嘉敷邦彦(助教)、上田百合(助教)
2)プログラムの特色:甲状腺を含む頭頸部悪性腫瘍を扱う。頭頸部外科の手術手技を習得することに加え、抗がん剤の副作用を理解し化学療法を効果的かつ安全に行う技術を身につける。広い視野から患者の QOL を考慮した治療方針が決定できることを目標とする。頭頸部外科学会の頭頸部がん専門医の取得の場合は、日本耳鼻咽喉科学会認定耳鼻咽喉科専門医を取得3年後に申請できる。外来は腫瘍外来を担当します。

2. 耳鼻咽喉科専門医取得・耳科、聴覚研修コース

1)主な指導者:西山信宏(臨床准教授)、白井杏湖(講師)
2)プログラムの特色:慢性中耳炎や難聴などの耳疾患を扱う。聴力改善のためのマイクロサージェリーの習得や補聴器適合の詳細をマスターすることを目標とする。聾患者に対する人工内耳埋め込み手術は、わが国初の症例を行って以来現在も日本で最も多くの症例数を有している。外来は難聴外来、中耳炎外来、人工内耳外来を担当します。

3.耳鼻咽喉科専門医取得・めまい、平衡研修コース

1)主な指導者:稲垣太郎(准教授)
2)プログラムの特色:耳性のめまいのみならず、脳腫瘍、脳循環不全などに伴う中枢性めまいから自律神経異常、およびその他の原因まで、広範囲の平衡機能障害の診断と治療を習得できます。日本めまい平衡医学会 active memberの取得を目指す場合は、合計8年、このうち同学会入会期間は5年が必要である。外来はめまい外来を担当します。

4.耳鼻咽喉科専門医取得・鼻科研修コース

1)主な指導者:矢富正徳(講師)
2)プログラムの特色:アレルギー性鼻炎、副鼻腔炎などの鼻・副鼻腔疾患と睡眠時無呼吸を扱う。副鼻腔炎の内視鏡手術の習熟、様々な要因をもつ睡眠時無呼吸の原因を多面的に解析することなどを目的とする。閉塞性睡眠時無呼吸症候群に対しては積極的に手術を行っている。外来は鼻・副鼻腔アレルギー外来、睡眠時無呼吸外来(内科、口腔外科と連携)を担当します。

5.耳鼻咽喉科専門医取得・気管食道科専門医取得コース

1)主な指導者:本橋玲(講師)
2)プログラムの特色:声帯ポリープや反回神経麻痺、痙攣性発声障害などの喉頭疾患や嚥下障害などの治療に当たる。音声障害の診断と外科的治療、嚥下障害の原因解析とこれに応じたリハビリテーションの計画や外科的治療の習得を目標とし気管食道科専門医の取得を目指す。外来は音声外来、嚥下外来を担当します。