生体分子先端研究センター

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平成25年度より文部科学省・私立大学戦略的研究基盤形成支援事業「生体分子情報による次世代型がん個別最適化治療法の開発:事業番号S1311016」が採択されました。本事業の研究組織である「生体分子先端研究センター」は、基礎ー臨床ブリッジングによる情報共有と有効利用を目的として、東京医科大学病院内の新教育研究棟(自主自学館)14階フロアーに新たに整備されました(内線番号 6147)。生体分子先端研究センターには次世代DNAシークエンサー、および情報解析のための研究装置が整備され、学内の共同研究の拠点として活動します。

研究目的

近年「がん多死化社会」の到来が大きな課題となっていますが、がん克服のためにはがん細胞の撲滅と同時に副作用を最小限にして二次発癌を予防することが大切です。そのためにはがんの特性や患者さんの薬剤感受性・免疫学的背景により個別化し、薬剤投与量・投与方法を最適化した医療の確立が望まれます。本事業では新たに次世代シークエンス技術などを導入し、がんの個別最適化医療の実現を目指します。また、「がん多死化社会」に立ち向かう若手医師、若手研究者の育成を行います。

研究の概要

がん撲滅のためには(1)がん幹細胞とがん環境の分子基盤、(2)免疫制御、(3)遺伝的背景の三方向からのアプローチが大切で、なかでも(3)についてはゲノム薬理学的解析による新しい局面を迎えています。そこで本事業では、(1)から(3)を軸として研究を展開します。まず、がん幹細胞とがん環境の分子基盤に関しては、miRNAなどの革新的バイオマーカー、エクソソームの臨床応用に加えて、ヒストン修飾を含めた生体分子相互作用や低酸素・低栄養状態におけるがん環境と血管新生など多角的アプローチを試みます。次に免疫制御機構に関しては、免疫細胞治療の開発とともに、免疫パラメーターの適正評価法を確立し、抗がん剤減量や中止のパラメーターとなりうるエビデンスを蓄積していきます。最後の遺伝的背景についてはファーマコジェノミクスという最も新しい分野に該当しコンパニオン診断として確立を目指します。事業の規模としては決して大規模ではありませんが、テーマを集約し、実現性の高い多角的なアプローチを試みることでexamination cohortとしての成果を集約していきます。そして、validation cohortとして国内外の多施設共同研究に発展させることで、次世代型がん個別最適化医療のロードマップ作成に大きく寄与することが期待されます。

研究組織図

研究組織図

年次計画

初年度(平成25年度):研究施設、研究設備の整備、研究組織の運営体制を確立すると同時に、大学院生をはじめとする若手研究者の育成プログラム、具体的には「次世代型がん研究戦略セミナー(仮称)」をスタートします。
平成26年度~27年度:年次計画に沿って計画を遂行し、平成26年1月に第一回報告会を、平成27年11月に外部評価委員を交えた中間報告会を開催予定です。
平成28年度は到達目標に向けた研究の推進を図り、国内外での成果公表を積極的に行います。
最終年度(平成29年度):外部評価委員を交えた最終成果報告会を開催し、得られた結果の一部についてはメディアを通じて社会に公表します。

プロジェクト進捗状況