研究内容紹介

  • トップ
  •  › 
  • 研究内容紹介
  •  › 
  • 研究内容紹介

がんとエピジェネティクス

エピジェネティクスとは、「DNA塩基配列の変化を伴わない後天的な遺伝子制御の変化」を研究する分野で、細胞の発生・分化・老化、リプログラミングなどの様々な生命現象に関わっています。
最近の研究により、がん細胞にはジェネティックな遺伝子異常に加えて、様々なエピジェネティック異常が生じていることが分かってきました。
私たちは、エピジェネティクス機構の一つである「DNAのメチル化」と「マイクロRNA(非翻訳RNA)」に注目して研究を行っています。

テーマ1 エピジェネティック分子標的薬(5-アザシチジン)の作用機序の解明と効果予測

テーマ2 血清マイクロRNAによるがん病態の早期診断

がんと微小環境

がん細胞の増殖や悪性化にはがん細胞周辺の微小環境が重要であることが明らかとなってきました。この微小環境はがん間質(線維芽細胞、炎症細胞、免疫担当細胞、血管、リンパ管)に加えて結合組織や、低酸素・低栄養などの環境要因で構築されています。
私たちは、このがんと微小環境の構成細胞の細胞間相互作用において「エクソソーム」とよばれる細胞から放出された小胞が関与していることを見出し、培養モデル系を構築して研究を行っています。

テーマ1 低酸素環境下でのがん細胞由来エクソソームが及ぼす血管内皮細胞への影響とそのメカニズム解明

テーマ2 骨髄内微小環境に潜む骨髄腫細胞と周辺細胞のエクソソームを介した細胞間相互作用の解明

がんとテロメア

テロメアは、染色体の末端に存在するリピート配列であり、細胞の一生において時間軸を司っています。最近のiPSなどのリプログラミングのような細胞運命の時間軸の巻き戻し現象においてもテロメア制御が注目されています。
テロメアの制御は従来、テロメラーゼ(テロメアを補足するホロ酵素)とテロメア結合蛋白によって行われていると考えられていましたが、最近の研究により、サブテロメア領域からテロメアにかけて「TERRA」という非翻訳RNAが存在し、その制御を調節する第三の因子として注目されています。
私たちは、初期化細胞やエピジェネティック標的薬によるTERRAを介したテロメア制御機構ついて研究を進めています。

テーマ1 マイクロRNAによる初期化誘導過程におけるリプログラミングとテロメア制御との関係

テーマ2 エピジェネティック標的薬(5-アザシチジン)によるTERRA発現誘導メカニズムとDNAメチル化の関係
TERRAを用いた診断開発