Diary  後期研修医日記

後期研修医通信5号

声の主 : 宮下 竜伊

カテゴリ : 本院 八王子 茨城 関連病院

上高地から戻って1か月、東京は中野で日本AIDS学会が開催されました。武蔵野台地の真ん中に位置するこの地は、1400年前後に中野長者こと鈴木九郎がこの地を開拓したそうですが、初めて中野の名が登場するのは貞治元年(1362年)の「武蔵国願文」が最古とされており、1000年ころから1362年の間のどの時点で決まったかは、定かではないそうです。かつては、太田道灌と豊島氏が争った江古田原沼袋合戦の場となったこの地も今やサブカルチャーの聖地・中野ブロードウェイを要し、外国人観光客の数も少なくありません。中野駅北口を出てサンロードに入り、右手の路地を曲がれば、そこには呑兵衛の聖地が広がっています。雑踏の中に紛れて酒に酔うこともまた、教養です。一方、南口をでてロータリー向かって右側、中野通りを渡って路地に入ると、北口とは空気の異なる店が軒を連ねているのです。そんな中野駅、中央線を降りると、その日の気分で改札口南北合戦は熾烈な争いとなります。

 さて、表題の日本AIDS学会ですが、これは自分の目標であった、自分の専門分野でそれぞれ演題を出す!シリーズ第2弾完結編、HIV感染症領域でありました(第一弾は後期研修医通信2号の6月に記載されている日本血栓止血学会です)。会場は中野サンプラザです。今回は口演、つまりスライドをつかって演題発表をするタイプであり、とても緊張する発表でした。自分は日和見感染症のテーマで症例発表となったわけですが、他の演題も日常臨床で疑問になりがちな非常に興味深いものばかりで、大変勉強になるとともに、次に自分が挑むべきテーマのきっかけをつかむ有意義なものでした。また、学会全体を通しても、これまでの学会と一味違い、テーマが社会に及んでおり、医師以外の演題や講演もあり、疾患に対して多角的な視点でとらえていることがはっきりとしている学会です。

 自分が関わるこの領域は、病院や医療者が尽力することはもちろんですが、社会的に、その人が関わる生活にも溶け込んでいくことも必要とされていると日々感じています。


図1.jpgのサムネール画像