職域のメンタルヘルスに大きな影響を与える要因として、業務負荷などの仕事のストレス要因と、個人要因としての睡眠の問題、そしてそれによって引き起こされるプレゼンティズム(心身の問題による生産性の低下)があります。

今回東京医科大学精神医学分野の古市亘兼任助教、志村哲祥兼任講師らによる研究で、これらの関係性の度合いと有意性をパス解析によって明らかにすることに成功しました。

このモデルはストレス反応の47%を説明し、プレゼンティズムの32%も説明する優れたモデルでした。プレゼンティズムは仕事のストレス要因や周囲のサポートの欠如から直接生じる度合いは少なく、ストレス反応や睡眠の問題を介して生じていることが分かります。この結果から職域の生産性を向上させるためにはうつ症状などのストレス反応や、睡眠の問題の改善が重要であることも分かります。

この調査研究の結果は、精神医学の学術誌であるNeuropsychiatric Disease and Treatmentに掲載されました。

Furuichi, W., Shimura, A., Miyama, H., Seki, T., Ono, K., Masuya, J., & Inoue, T. (2020). Effects of Job Stressors, Stress Response, and Sleep Disturbance on Presenteeism in Office Workers. Neuropsychiatric disease and treatment16, 1827–1833. https://doi.org/10.2147/NDT.S258508