夜型傾向は睡眠障害やうつ病のリスクとなることが知られていますが、職務上のストレス要因やストレス反応とどのように関連しているかは未知でした。今回、東京医科大学精神医学分野の美山仁兼任助教と志村哲祥兼任講師らの研究により、 職域という仕事の現場におけるメンタルヘルスとクロノタイプ(朝型/夜型などの体内時計のタイプ)との関連の一端が明らかにされました。
本研究は、朝型/夜型は仕事のストレス要因(業務の忙しさやジョブミスマッチ、人間関係など)とはほんど関係せず(パス係数=0.083)、さらにはストレス反応とも関係しない(係数=0.064)一方で、睡眠の問題と非常に強く関連し(パス係数=-0.222、朝型なほど睡眠の問題が生じにくく、夜型ほど問題を生じやすい)、それを介して心身のストレス反応を引き起こしていることが明らかになりました。
朝型/夜型は個人の体質・特性ですが、それが職域におけるメンタルヘルスに影響を与えないようにするためには、睡眠に目を向け、睡眠の問題が生じないようにしたり、改善したりする取り組みが重要であることが示された研究です。
本研究の成果は論文として精神医学分野の科学誌であるNeuropsychiatric Disease and Treatment誌に掲載されました。