医局員の声

留学報告

声の主 : 藤居泰行

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201810月から20209月まで、アメリカ合衆国University of Connecticut Health Center (UCHC)I-Ping Chen研究室のポストドクロラルフェローとして勤務しました。

UCHCは世界的にも骨代謝研究が盛んな研究機関の一つであり、米国骨代謝学会創設者のRaisz博士を始め、これまで多くの骨代謝研究の第一人者が所属しています。私の研究テーマは遺伝性骨代謝疾患である頭蓋骨端管異形成症(CMD)とチェルビズム(CBM)の、それぞれの疾患モデルマウスを用いた病態メカニズムに関する研究でした。両疾患とも口腔外科領域に病変を認める疾患ですが、希少疾患であるがゆえにこれまでの診療で遭遇したことがなく、留学前はなじみがありませんでした。CMDは骨の過形成を認める一方、CBMは炎症性骨破壊を認める疾患であったため、両疾患の研究を通じて骨代謝学に関する理解をより一層深めることができたのではないかと思っております。

思うような結果が出ない日が続くこともありましたが、Chen准教授やメンターであるRechenberger教授、同僚のShyamの3人のラボメンバーの支えがあり、2年間の留学生活を乗り越えることができました。初めての海外での生活の立ち上げにも苦労しましたが、ラボメンバーや現地の日本人の方々に何度も助けて頂きました。コネチカットは自然が豊かな場所で、夏はテニスやゴルフ、冬はスキーを楽しむことができる一方で、ニューヨークやボストンの大都市からも近いため、休日は観光を楽しみました。CBMに関する研究成果は201910月にオーランドで開催された米国骨代謝学会で発表し、また、CMDに関する研究はJournal of Bone and Mineral Researchに掲載されました。研究、海外生活ともに充実した2年間だったと思います。

今後は留学で学んだ経験を活かし、これまで行ってきた臨床研究や基礎研究を発展させて行きたいと考えております。