医局員の声

後期研修医を終えて

声の主 : 池畑

カテゴリ : 本院

 

 東京医科大学口腔外科学講座に入局して4年が過ぎましたが、振り返ってみると非常に充実した研修期間であったと思います。私は学生時代から口腔外科の道に進もうと決めていましたが、口腔外科疾患、特に再建を伴うような癌の手術症例などは絶対的に全身管理能力が必要とされますし、他にも全身疾患を有する患者の治療が今後多くなってくるであろうということを考えた時に、私が研修先に求めた条件は、全身管理を学べる他科研修が充実していること、及び口腔外科症例が豊富な施設であることでした。東京医科大学口腔外科では、まさに私が求めていた研修を行うことが出来たと思っております。

 初期研修が終わり、2年目は最初の半年間を東京医大の麻酔科・救命救急センターで、そして最後の半年間は日本医科大学多摩永山病院救命救急センターへ出向し、研鑽を積ませて頂きました。この1年間の経験が間違いなく口腔外科医としての基礎になっていると思います。麻酔科では輸液から始まり循環作動薬の使い方、気管内挿管等の周術期管理を、救命救急センターではショック、多発外傷、多臓器不全といった重傷救急疾患も多く、まさに全身管理を学ぶ場でありましたし、中心静脈ラインの確保や気管切開等の手技的な面でも多くの経験をさせて頂きました。日本医科大学多摩永山病院救命救急センターでは、顎顔面外傷の手術は東京医大口腔外科が担当しており、高エネルギー外傷による多発顔面骨骨折に対する観血的整復固定術、特にLe fort,Ⅲ骨折等の他ではめったに経験出来ない症例も経験することが出来、非常に恵まれた環境であったと共に、改めて口腔外科医が扱う領域の広さを認識させられました。

 3、4年目の2年間は口腔外科の臨床に打ち込むことが出来ました。東京医大病院は恵まれた立地であり、口腔外科の年間初診患者数も40005000人と非常に多く、埋伏抜歯を始めとした外来小手術に関しては数に困ることはありませんでした。病棟では周術期管理を始め、全身麻酔下での手術も嚢胞から始まり、顎骨骨折観血的整復固定術、下顎枝矢状分割術、オトガイ形成術等幅広い手術を執刀医という立場で経験することが出来ました。外科手術は模型等での練習が難しい分、実際に自分が手を動かすことで上達するということを強く認識しました。また4年目には日本口腔外科学会認定医を取得することができました。

 後期研修を終えて、今年から大学院博士課程へ進学することとなりました。現在大学院では基礎系の研究が中心の生活を送っているので、臨床を離れることになりますが、臨床における疑問点を解決する上でも各種研究手法を身につけることは重要であると思いますし、今後リサーチマインドを持った臨床医を目指して日々頑張りたいと思います。