教室について

東京医科大学血液内科学分野主任教授就任のご挨拶

ごあいさつ

このたび、令和7年4月より東京医科大学血液内科学分野主任教授を拝命いたしました赤羽大悟と申します。長きにわたり当分野を発展させてこられた諸先輩方、日頃より当科の診療・研究・教育活動を支えてくださる関係各位の皆様に心より御礼申し上げます。

私はこれまで造血細胞移植を中心とした診療に従事し、「患者さんとともに歩む医療」という本学のミッションを実践してまいりました。血液内科の一員として診療、研究、教育に携わる中で得た経験を礎に、この度の就任にあたり、さらなる発展を目指す所存です。

診療への取り組み

血液疾患は急性白血病や悪性リンパ腫といった命に関わる疾患から、貧血や血小板減少症など日常的に遭遇する疾患まで多岐にわたります。近年、分子標的薬や免疫療法、遺伝子治療など革新的な治療法が次々と開発され、かつては治療困難とされていた疾患の予後も大きく改善しています。

当科では最先端の治療を提供するとともに、個々の患者さんの年齢、社会的背景、価値観などに配慮した医療を実践します。特に、①難治性血液疾患に対する新規治療法の開発と確立、②様々なライフステージに応じた治療戦略の構築、③地域医療機関との緊密な連携による切れ目のない医療提供体制の確立に力を注いでまいります。

また、日本成人白血病研究グループ(JALSG)の一員として、最新のエビデンスに基づく標準治療を提供するとともに、新規薬剤の臨床試験にも積極的に取り組んでおります。患者さんとそのご家族が安心して治療に臨めるよう、多職種チームによる包括的サポート体制を充実させてまいります。

教育・人材育成

医学教育においては、基礎的知識や技術の習得はもちろんのこと、臨床現場での実践力を養うことを重視します。症例の丁寧な検討から診察技能、臨床推論力を強化し、自ら考え、学び続ける医師の育成に注力いたします。

また、豊かな人間性とコミュニケーション能力を兼ね備えた医療人の育成も重要課題と考えております。様々な価値観を尊重した教育環境の整備、働き方改革を踏まえた効率的な教育プログラムの構築により、次世代を担う医師・研究者の育成に取り組みます。それぞれが最大限の能力を発揮できる組織づくりを目指します。

さらに、20年後の医療を見据えた人材育成プログラムの刷新を行い、変化する医療環境に柔軟に対応できる血液内科医の育成を目指します。

研究活動の推進

研究面では、臨床で生まれる疑問を研究へと昇華させる「ベッドサイド to ベンチ」の循環を重視します。多施設共同臨床研究への参画、新規薬剤の作用機序や耐性化の解析、遺伝子解析による疾患の経過や予後の予測など、基礎研究と臨床研究の両輪を回し、新たな診断法・治療法の開発につなげてまいります。学内の他部門や、他施設との共同研究にも力を入れ、幅広い視点から血液疾患の病態解明と治療法の開発に取り組みます。

特に、AIやデジタルトランスフォーメーション(DX)を積極的に取り入れた研究にも挑戦します。AI技術を活用した診断支援システムの開発など、最新技術を血液内科診療に応用する取り組みを進めてまいります。

また、国内外の研究機関との連携を強化し、グローバルな視点での研究活動を展開します。若手研究者が活躍できる環境づくりにも注力し、研究の裾野を広げていきたいと考えております。

おわりに

血液内科学は日々進化を続ける分野です。最新の知見を取り入れながらも、常に患者さんを中心に据えた医療を提供すること、そして次世代の医療を担う人材を育成することが私たちの使命です。

教室員一丸となって、診療、教育、研究のさらなる充実に取り組み、本学の発展および社会貢献に寄与してまいる所存です。皆様のご指導ご鞭撻を心よりお願い申し上げます。

令和7年5月 東京医科大学血液内科学分野 主任教授 赤羽 大悟

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