血液内科が診療とする疾患は、白血病、骨髄異形成症候群(MDS)、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫に代表される造血器腫瘍や再生不良性貧血、溶血性貧血、多血症、血小板減少による出血性疾患などがあります。血液疾患に対する治療の進歩は著しく、新しい分子標的薬や抗体療法が導入されてきており、これらの最新の知見を積極的に取り入れています。経験豊富な専門医を中心として、エビデンスに基づいた最善の治療法をきめ細やかに患者さんに提供しています。また無理なく治療が続けられるよう外来化学療法との連携も行っております。
血液内科は32床を有し、骨髄移植や末梢血幹細胞移植などで使用されるクリーン度の極めて高い無菌病棟(10床)を備えています。化学療法ならびに放射線療法後の一過性免疫不全状態でも、患者さんはこの無菌室内のケアにより日和見感染が予防され、治療成績の向上がみられています。また入院患者は、白血病などの難治性疾患を扱う機会が多いため、十分に情報を提供した上で適切な検査法や治療法を提供しています。さらに日本成人白血病研究グループ(JALSG)や厚生労働省科学研究費補助金・難治性疾患克服研究事業に参加し、標準的治療法の検証や新規治療法の開発に取り組んでいます。
当院の造血細胞移植は1990年からはじまり、2021年までに延べ308件を行っています。近年では年間15~20件の移植療法を行っており、特に疾患コントロールすら困難な症例にも臍帯血をドナーソースとして実施しています。
疾患リスクなどによってもその予後は異なりますが、1年生存率は87.3%(0.737-0.941)、3年生存率も68.0%(0.488-0.813)です。加えて、かつては30~40%程と言われた移植関連死亡(NRM)も、ここ数年では1年NRM 4.3%(0.008-0.130)、3年6.9%(0.0017-0.172)にまで改善しています。CAR-T細胞療法も登場している現在でも、病める多くの血液疾患患者さんの治癒を目指した治療オプションとして有用です。
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