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定位放射線照射は、全身状態、全身麻酔の必要なく治癒させる可能性を見出しました。また、従来、手術しか治療方法がなかった疾患に対して、手術と定位放射線治療を組み合わせることで、機能温存に重点をおいた腫瘍制御の可能性が出てきました(頭蓋底腫瘍など)。
全ての頭蓋内疾患に適応されるものではありませんが、低侵襲、低リスクであり、入院期間が短期間ですむ治療方法です。
定位放射線照射は局所に高精度に放射線を集中させて照射することにより、病巣周囲への副作用を抑え、病巣には正確に高線量を照射させることにより治療効果を高めたり、従来の放射線治療の適応とならなかった疾患に対して、その適応を広げたりしていくものであります。よって、従来の放射線治療と比較して照射装置の位置設定精度と患者の固定精度が高いことが前提に行われます。
定位放射線照射は大きく二つに分類すると、1回照射による定位手術的照射(stereotactic radiosurgery、SRS)、分割照射による定位放射線治療(stereotactic radiotherapy、SRT)となります。両者を総称して定位放射線照射(stereotactic irradiation 以下STI)と定義されます。
当施設では、2001年12月より直線加速器による定位放射線治療(X-knife)を導入しています。直線加速器はメバトロンプリムス(6MeV)を用い、BrainLAB社製の治療計画用ソフトウェアおよびマイクロマルチリーフコリメーター(m3)を使用しています。患者さん毎に専用の固定用マスクを作成するため、ガンマナイフに比し、分割照射を容易に計画、施行できる利点があります。
<脳腫瘍>
●転移性脳腫瘍(SRSまたはSRT)
当院では、原則3-4病変以下、最大径4cm以下、制限はあるものの日常生活が可能(KPS 70%以上)、非小細胞癌、非嚢胞性などを定位放射線照射の適応としています。全脳照射、外科的摘出との組み合わせなど症例に応じて、対応しています。原発巣が制御されている場合、脳以外の他臓器転移が無い場合の治療成績が良い傾向にあります。
●髄膜腫(原則SRTを選択)
主に頭蓋底髄膜腫を適応にしています。定位放射線治療単独、外科的摘出との計画的な併用療法などを行います。脳表に存在する髄膜腫に対しては、定位放射線治療の脳浮腫のリスクが高いとされることから、外科的摘出術を第一選択として薦めています。
●下垂体腺腫(原則SRTを選択)
経鼻的下垂体腫瘍摘出術を第一選択として薦めています。しかし、海綿静脈洞伸展腫瘍など、手術では摘出困難な部位に対して、定位放射線治療を組み合わせています。
●聴神経腫瘍(原則SRTを選択)
外科的摘出を第一選択として薦めています。しかし、腫瘍の大きさ、嚢胞成分、脳幹圧迫の程度、有効聴力の有無、顔面神経麻痺の有無、年齢など、患者さんに応じて、外科的摘出、定位放射線照射、経過観察などを選択して頂いています。
●頭蓋咽頭腫
外科的摘出(経鼻的または経頭蓋的)を第一選択として薦めています。しかし、成人例、嚢胞成分が主な場合など、患者さんに応じて、神経内視鏡手術と分割照射による定位放射線治療(SRT)を選択することがあります。視機能障害の速やかな改善と機能温存が高い印象があるためです。
<脳血管障害・その他>
●脳動静脈奇形
●硬膜動静脈瘻
●頭頸部腫瘍(上咽頭癌など)
<転移性脳腫瘍(SRS)>

<頭蓋咽頭腫(神経内視鏡手術との併用、SRT)>
