部門紹介

間脳下垂体部門

間脳下垂体とは?

 間脳とは脳幹の一部である中脳と大脳の中間を言う。代表的な解剖学的構造物は、視床、視床下部、松果体です。これらは,脳内に存在する髄液の部屋のひとつ、第三脳室を取り囲むように位置します。更に視床下部から連続し、視交叉(左右の視神経が交叉する部位)の下方、トルコ鞍というくぼみに存在するのが下垂体です。
 中枢神経系全体からみると間脳下垂体の占める容積は小さいが、視床(知覚や錐体外路)、視床下部(体温制御、尿量調節、自律神経の中枢、下垂体前葉ホルモンの調節など)、下垂体(各種ホルモンを分泌)など、非常に重要な役割を果たします。
 この狭い領域に、種々の疾患が発生し、脳神経外科の治療対象となり、解剖学的特性、内分泌学的特性のために、内分泌内科、婦人科(月経不順、乳汁分泌、高プロラクチン血症)、眼科(視力視野障害)との密な連携、協力の下に治療が進められることが重要です。

間脳下垂体外科の対象疾患

 当部門では間脳下垂体部に発生する腫瘍(下垂体腺腫、頭蓋咽頭腫、髄膜腫、ラトケのう胞、胚細胞腫など)や炎症性疾患(下垂体炎、種々の肉芽腫など)を扱っています。
 下垂体腺腫は最も多く、視野障害などで発症する非機能性腺腫と先端肥大症(成長ホルモン産生腫瘍)・乳汁分泌(プロラクチン産生腫瘍)・Cushing病(ACTH産生腫瘍)などにて発症する機能性腺腫に分けられます。
 頭蓋咽頭腫は、視力視野障害、尿崩症などにて発症する小児から高齢者まで幅広い年代にて発生する腫瘍です。良性の腫瘍ですが、再発率が高く、長期的な経過観察が必要な病気です。

間脳下垂体疾患の治療方法

下垂体腺腫に対しての治療は手術療法、内服治療、放射線療法などがあります。それぞれのタイプに対し患者様と相談しながら最善な治療法を選択します。手術は鼻孔からアプローチする経蝶形骨洞手術が主です。内視鏡単独下または内視鏡支援顕微鏡手術を提供しています。手術の傷は外観からは全く分かりません。
 頭蓋咽頭腫は、経頭蓋による頭蓋内腫瘍摘出術、経鼻的下垂体腫瘍摘出術、経脳室的腫瘍摘出術および定位放射線治療の組み合わせなど、様々な治療アプローチがあります。腫瘍の大きさ、伸展方向、成分、初発か再発か、過去の治療歴、年齢など、患者さんに応じて、その利点、欠点を示して選択したいと考えています。当院では、全ての治療アプローチの提供が可能です。

症例提示

 非機能性下垂体腺腫、視力視野障害、内視鏡下経鼻的下垂体腫瘍摘出術を施行。術後視力視野障害は治癒。ホルモン補充療法不要、尿崩症なし。