診療案内はこちら ⇒ 東京医科大学病院 泌尿器科 ホームページ
- トップ
- >
- メディア紹介・お知らせ
- >
- 徳山医員が第620回 泌尿器科学会東京地方会にてベストプレゼンテーション賞を受賞しました。
徳山医員が第620回 泌尿器科学会東京地方会にてベストプレゼンテーション賞を受賞しました。
2016.07.06 15:34
投稿者 : 医局
カテゴリ : お知らせ
2016年2月に開催されました第620回 泌尿器科学会東京地方会にてベストプレゼンテーション賞を受賞しました。発表演題は「膀胱癌に対するBCG膀胱内注入療法後に化膿性脊椎炎を来した1例」という症例報告でした。
BCG膀胱内注入療法は主に膀胱の粘膜内の癌である上皮内癌、癌の再発予防に対して行われる治療です。上皮内癌はTa,T1の筋層非浸潤性膀胱癌のように隆起性病変を作らず、内視鏡的な切除が困難なためBCG膀胱内注入療法が選択肢とされております。BCGとはもともと結核予防のために作られた弱毒化抗結核ワクチンですが、膀胱内に注入することで免疫反応を惹起し腫瘍細胞の貪食、破壊を来します。高い治療効果 が得られる事が知られておりますが、その一方で副作用に関しても慎重に対応しなければいけません。一般的には頻尿、排尿時痛などの膀胱刺激症状、血尿など が知られておりますが、まれにBCG菌による感染を起こす事があります。BCG菌による感染はヒト型結核菌に用いられるクオンティフェロンやT-SPOTなどの簡便な検査では検出することができず、その感染の証明には感染組織のPCRもしくは検鏡による菌の証明が必要です。その診断は難しく、現在報告されている使用成績調査では2214例中13.9%の症例において発熱などの臨床症状からBCG感染を疑い抗結核薬の内服をしたという報告があります。本症例のように脊椎炎を起こした例は世界的にみても18例しか報告がなく、診断に非常に苦慮した症例でした。このようにBCG療 法に伴う副作用は重篤化する症例は少ないとはいえ、非常に診断が難しく治療が遅れる可能性があるため患者様と密に連携を図り、そのサインを見逃さないこと が重要だと考えられます。現在、当科におきましては膀胱癌をはじめとし数多くの泌尿器科領域の悪性腫瘍に対する加療を扱っておりますが、各治療におきまして患者様からの訴えを真摯に受け、症状の悪化を防げるよう努力してまいりたいと思います。
今回の受賞に際し、直接ご指導頂きました当科の講師である中神義弘先生、感染症科 中村造先生をはじめ、東京医科大学泌尿器科分野教室内の皆様方にはこの場を借りて厚く御礼申し上げます。
- 医局さんの記事を読む
- |
- 閲覧 ()