第90回日本循環器学会学術集会 (2026/3/20-22, 福岡国際会議場) Late Breaking Session において当教室の矢崎准教授が研究を報告しました。
演題名: 「Shared and Specific Oral and Gut Microbial Signatures in Major Cardiovascular Diseases」
本研究は、日本人5,137例からなる Japanese 4D(Disease, Drug, Diet, Daily life) cohortを対象に、心房細動(AF)、虚血性心疾患(IHD)、心不全(HF)における腸内および口腔内細菌叢の特徴を比較検討した多施設共同研究です。特に、年齢やプロトンポンプ阻害薬(PPI)使用といった交絡因子が細菌叢に大きく影響する点を踏まえ、これらを十分に調整したうえで解析を行ったことが、本研究の重要な特徴です。
解析の結果、各循環器疾患に関連する微生物学的特徴の多くは疾患特異的である一方、複数の疾患に共通して関連する菌種も認められました。なかでもAFでは、短鎖脂肪酸(SCFA)産生菌の減少や、それに関連する代謝経路の低下が示され、腸内環境の機能的変化が病態に関与している可能性が示されました。また、AFでは口腔由来細菌の腸内での検出増加もみられ、慢性炎症を介した「口腔―腸管―心血管連関」を考えるうえでも興味深い結果でした。
これらの知見は、将来的に非侵襲的バイオマーカーの開発や、口腔ケア・歯周病治療を含めた新たな予防・治療戦略につながる可能性があると考えられます。

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