当教室が関係する最新のCTEPHの論文を紹介します。
当院からの論文です。ハイリスクのCTEPH患者さんに対して、外科的血栓内膜切除術(PEA)を行う前にカテーテル治療であるバルーン肺動脈拡張術(BPA)を先行して行うコンビネーション治療はPEAのみの治療と比較して、PEA術前の血行動態を改善します。結果として、PEAの周術期合併症リスクを軽減し、入院期間を短縮できる可能性を報告しました。PEA前にBPAを行うとPEAが困難になる可能性が昔から指摘されており、PEA前にBPAを施行している施設は欧米を含めほとんどありません。ガイドラインに全く記載のない挑戦的な治療戦略の有用性を初めて報告しました。
当院も参加した全国的な前向きレジストリーの報告です。現時点ではCTEPH患者さんへの抗凝固療法は唯一ワーファリンが推奨されていますが、DOACで代替できるのではないのかというclinical questionへの回答となりうる論文です。CTEPH患者さんへの抗凝固療法においてワーファリンとDOACの安全性と有効性を前向きに検討した世界初のデータです。ワーファリンと比較してDOACは同等に有害なイベントを抑制し、生命予後を改善するが、出血が有意に少ないとの結果でした。CTEPH患者さんへの抗凝固療法は生涯継続しなければならいない治療であり、高齢の患者さんも増加している現状からDOACの使用が有用であれば大きなメリットがあります。今後ガイドラインにも影響する可能性のある報告であると考えます。
【ご近隣の医療機関のみなさま】
肺高血圧症(特に慢性血栓塞栓性肺高血圧症 CTEPH)に関する専門外来を開設しております。疑わしい患者さまは是非ご紹介ください。
毎週金曜日午後 肺血管外来(循環器内科外来内) 担当医 山下講師https://hospinfo.tokyo-med.ac.jp/iryo/renkei/shokai.html
【当教室における肺高血圧診療にご興味をお持ちの学生/若手・中堅医師のみなさま】
当教室では引き続きハートチームとして肺高血圧症(特に慢性血栓塞栓性肺高血圧症
CTEPH)に対するカテーテル治療(BPA)と外科治療(血栓内膜摘除)に積極的に取り組んでいきます。同領域に関心のある医学生・初期/後期研修医のみなさまの手技見学を随時受け入れております。さらに、チームに参加していただける若手・中堅医師も随時募集しております(心エコーを含む)。
*お問い合わせ: 矢崎義直(医局長) E-mail: y.yoshi2008@hotmail.com
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