漢方医学センターは、患者さんの一層の症状改善と生活の質向上を目指すため、新病院開院に合わせて新規開設されました。日本の伝統医学であり、現代医学的な視点と異なる漢方医学の診断や治療法を十分生かし、患者さんのお役に立てるよう鋭意診療にあたっています。
スタッフは現代医学におけるそれぞれの専門分野の上にさらに漢方を研修、全員が漢方専門医の資格を持つ漢方医学のエキスパートです。
漢方医学センターは、当院通院中の患者さんを中心に、漢方治療の併用でさらに症状や体調を改善していただくことを第一の使命としています。その意味で、安心して漢方治療を受けていただくため現代医学的検査を十分行い、正確な診断を行うことも重視しています。
現代医学的治療と漢方治療を組み合わせた医療を統合医療と呼びますが、統合医療によってより良い治療効果が発揮されると考えています。つらい症状の一層の改善や体調管理の一環として、漢方の知恵をぜひご活用ください。
センター長 及川 哲郎
医師数 常勤 4名
非常勤 3名
脈診
舌診
腹診
現在、平日午後(月曜は隔週)に漢方外来を開設しています。図に示すように、さまざまな主訴の患者さんが受診されました。漢方治療の向いている症状を下記に挙げました。
1)冷え症
2)虚弱体質による体調不良、体力低下
3)老化に伴うさまざまな症状
4)アレルギー性疾患の症状軽減、体質改善
5)生活習慣病など慢性疾患の症状軽減
6)西洋医薬品(抗がん剤など)の副作用の軽減
7)各診療科の標準治療で十分改善しない諸症状など
主訴(重複あり)は腹痛など消化器系が79名と最多で、以下腰下肢痛など整形外科・疼痛系72名、倦怠感63名、しびれ40名、めまい38名、更年期障害36名、冷え症34名等でした。
■東京医科大学病院 漢方医学センターのご紹介
出典:『漢方の臨床』第67巻第12号 巻頭言
■第32回漢方治療研究会、オンラインで開催
出典:『漢方の臨床』第69巻第11号(2022)
■2024年4月3日
北区医師会で講演しました。
北区医師会長の増田幹生先生から講演のお招きを頂きました。個人的なことですが増田先生は及川の高校の先輩で、このようなご縁はとても有難いです。「コロナ後遺症の漢方治療?倦怠感を中心に?」という演題でお話をしてきました。今のところコロナ後遺症の決定的な治療法はありませんが、漢方薬が良い場合もあります。全員に効果がある訳ではありませんが、漢方薬を試してみてよいと思いますのでお困りの場合はご相談ください。
■2024年5月16日
第122回東京医大臨床漢方セミナーが行われました。
2カ月に一度の定例行事である臨床漢方セミナーがオンラインで行われました。今回のテーマは「メンタルヘルスと漢方」、当院産科婦人科の今井美成先生に婦人科メンタルヘルスの症例提示を頂いた後、及川がメンタルヘルスに用いられる漢方薬について講義を行いました。コロナ禍以降対面からオンラインに移行しセミナーの参加者は増えましたが、今回ははじめて100名を超え120名近い参加者がありました。ご参加ありがとうございます!
■2024年5月31日~6月2日
第74回日本東洋医学会学術総会が開催されました。
日本東洋医学会は8000人近くの会員を有する漢方医学関連で最大の学会です。その年1回の学術総会が大阪市の大阪国際会議場で開催されました。コロナが5類になってから2回目の現地開催となります。昨年は正直まだ少しおっかなびっくりのところもありましたが、今年は参加者の皆さんも気持ちの余裕が出来たのか質疑応答は活発で、また開場のあちこちで久しぶりの再会を喜び会話が弾んでいる様子でした。当院からもシンポジウムを含め4つの演題が発表されました。来年の第75回総会は東京・京王プラザホテルで開催予定です。
■2024年6月10日
矢数芳英先生が第26回東亜医学協会学術奨励賞を受賞されました。
当院漢方医学センターの矢数芳英先生が、第26回東亜医学協会学術奨励賞を受賞されました。東亜医学協会の創設は1938年と日本東洋医学会よりも古く、戦前の時代から漢方の復興と普及発展に取り組んできた伝統ある団体で、現在も漢方医学の愛好者の中でもコアなメンバーが集まっています。そのような「目の肥えた」団体から表彰を受けたことは大変名誉なことと思います。矢数先生の益々のご発展を祈念します。本当におめでとうございました!
■2024年7月18日
臨床漢方セミナー開催
定例行事の臨床漢方セミナーが行われました。今回のテーマは消化器でした。本学小児科・思春期科の中山俊宏先生から新生児に対する漢方治療の興味深い症例提示を頂いた後、及川が主に消化管領域の漢方治療を概説しました。新生児に対する漢方治療の報告はまだ少ないと思いますが、今後この領域への漢方薬の応用が広がっていくことを期待したいと思います。
■2024年8月20日
漢方医学センター納涼会開催
新宿三丁目にて
■2024年8月24日~25日
第41回和漢医薬学会開催
日本東洋医学会が主に臨床医学系なのに対して、和漢医薬学会は薬学を中心とした基礎系の学会です。漢方薬や生薬に含有される成分に関する研究や漢方薬の作用メカニズムに関する研究を行う研究者が集います。今回は基礎・臨床を問わず漢方が盛んな千葉で開催されました。漢方医学の発展は基礎・臨床が両輪となることが求められ、今回のテーマもズバリ「基礎と臨床の橋渡しの実践‐二刀流を極める‐」。会場の千葉大学病院は、残暑が一層ヒートアップする参加者の熱気に包まれました。
■2024年9月19日
臨床漢方セミナー開催
定例行事の臨床漢方セミナーが行われました。今回のテーマは産婦人科でした。本学産科婦人科で当センター兼務の班目有加先生から婦人科外来における漢方治療の症例提示後、矢数芳英先生が産婦人科領域の漢方治療を概説しました。産婦人科領域はもっとも漢方薬が多く用いられる臨床領域の一つです。今後も漢方の臨床応用進展が期待されます。
■2024年9月29日
第34回漢方治療研究会
東亜医学協会主催の研究会。元々煎じ薬による治療を中心に扱っていただけあり、コアな漢方好きが集まる学術集会です。今年は東京女子医大が主管し、「現代の名医と先哲の医術を日常臨床に生かす秘訣」をテーマに東京都内で開催されました。当センターからも矢数芳英先生が「森道伯先生の医術を日常臨床に生かす秘訣」と題して講演を行いました。
■2024年9月30日
新都心医療連携懇話会開催
当院と地域の先生方との親睦と医療連携を深めるため、年に数回開催されている講演会です。今回は当センターが担当し「漢方医学のすゝめ」というテーマで行われました。及川が漢方医学の総論と当センターの紹介を行った後、渡邉秀裕先生から「上気道感染症の漢方治療」、矢数芳英先生から「頭痛の漢方治療」、そして平澤一浩先生から「めまいの漢方治療」と各臨床領域における漢方薬の使い方につき講演がありました。ウエブを含め70名以上の参加者があり、90%以上の方から興味深い内容だったとの感想を頂きました。
講演中の(左から)及川、渡邉、平澤、矢数の各先生
■2024年10月27日
日本東洋医学会関東甲信越支部総会
漢方医学の学術団体である日本東洋医学会の中でも関東甲信越地区は最大の支部で、支部総会も数百人規模の参加があります。各都県持ち回りで年1回行われ、今年は群馬県前橋市で開催されました。各種講演と一般口演などがあり、活発な発表と討論が行われました。及川は教育講演を担当し、「消化器疾患の漢方治療」の演題で講演しました。
(漢方医学の領域で最大の学会、一般向けのページがあります)
(漢方医学の基礎研究が盛んな学会、市民公開講座のページがあります)
(戦前から漢方医学の教育啓発活動をしている、歴史と伝統ある団体です)
(1972年創立、日本で最も歴史ある漢方鍼灸の専門診療施設です)
(当センター矢数芳英医師の医院、煎じ薬による本格的な漢方治療を受けられます)
(火曜17-19時に漢方外来あり、日中の受診が難しい場合はこちら)
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