先輩からのメッセージ

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心臓血管外科 丸野 恵大 助教

丸野 恵大 助教

 

もともと細かい作業が好きで、急性期の外科医を目指していたこともあり、心臓血管外科と救命救急、形成外科のいずれかを選択しようと考えていました。
その中でも、心臓血管領域は疾患の種類が多く、発症後、短時間で的確な処置を施さないと生命の危機に陥ります。症状が表れにくい疾患でもあるので、患者さんの日々の病態にも細かく気を配る必要があります。手術時間も長く、高度な手技を要するうえ、精神的にもタフでないとついていけませんが、医師としてのやりがいを1番感じました。
最終的には、大学6年の学生研修(1カ月研修)の際に、心臓血管外科を希望し、いくつかの症例を経験した後に入局を決めました。

 

外科医は経験が全てだと考えています。研修医の多い医局を選ぶと、手術に携わる回数が少なくなってしまします。私は、当科の研修医になってから3年間、経験を積むために外の病院に出向しました。年間350件の症例に関わることで、多くの経験を積むことができました。また、そのような環境を提供してくれる病院を選ぶことをお勧めします。

 

2011年に赴任された、荻野 均 主任教授は国内だけでなく世界的にも著名で、海外の先生方との人脈も広く、そのような職場で一緒に働いていると、世界を身近に感じる機会が増えました。また、医局の雰囲気は良く、誰にでも助言を求めることができています。医療の技術だけではなく、学術面(英文による論文の作成や学会発表)や、人脈構築(海外の先生方との交流など)でも、幅広い経験を積むことができる場所だと実感しています。

 

私は最も研修医に近い立場ですので、当時の経験を活かし、できる限り本人の興味を引き出してあげられるよう、サポートしていきたいと考えています。
指導医ではありませんが、やる気のある人はどんどん質問してください。

 

自分の目標に合った病院を選択することをお勧めします。大切なのは、自分の将来の目標を明確に持つことです。

 

丸野 恵大 先生に相談してみたい方はこちらまで連絡ください ↓
E-mail : myracle_power@yahoo.co.jp

※日常業務・学会・出張などにより、回答に数日要する場合がありますが、予めご了承願います。

心臓血管外科 戸口 佳代 助教

戸口 佳代 助教

2001年大阪市立医学部卒業後、初期研修の場を国立国際医療センターに決める。レジデント時代には、国立循環器病センターに国内留学し、和歌山の医療機関に入局。2012年東京医科大学病院心臓血管外科助教。

人との出会いが心臓血管外科を目指すきっかけに

私は学生時代の6年生の夏に、関連病院の心臓血管外科で、7週間の実習カリキュラムを受けました。
手術中のはりつめた空気や、先輩外科医たちの前向きではっきりした気性が楽しくて、大好きで、自分は内科より外科に向いているな、と勝手に考えていました。そして何より、手術によって病気が治り、患者さんが回復していくという心臓血管外科という分野に大きな魅力を感じました。
このとき御世話になった先生は、いまや心臓血管外科の世界では重鎮ですが、大変気さくな先生で、よく飲みに連れて行ってくれました。そのころから、口癖のように、『心臓外科はいいぞー。なんといっても悪いところを切り取る癌の手術と違って、虚血だった心臓がよみがえる、狭窄していた弁が流れるようになる。患者さんは術前より楽になって、心不全がとれたり、狭心痛から解放されて、これまでよりもっと歩いたり、走ったりできるようになる、人生の幅が広がる。いわば、機能回復手術だからね。』とおっしゃっていました。今でもそれは、私の心のなかにあり、機能回復をめざすことこそが、わたしたちの使命であると考えています。

研修先として、国立国際医療センターを決めた理由は、当時では珍しく「スーパーローテーションシステム(複数の診療科を経験する)」を導入していたからということと、面接を受けた際の心臓血管外科のトップだった先生の印象が大変よかったからです。当時学内の心臓血管外科へは、女性ということで、正直歓迎しない、男性の入局者の2倍がんばってもらわないと、という返事を受けて、どうしようかな、と迷っていたときでもありました。
面接の際、「一所懸命に仕事をするなら、機会は平等です」と言われ、自分が卒業した大学病院にこだわる必要はない、歓迎してくれるところで働こうと決心しました。 関西から初めての上京生活で、両親も寂しそうでしたが、なんとか説得して、意気揚々と上京、医師としての研修生活のスタートを切りました。
その後2年間の研修生活は、理想と現実のギャップに悩んだり、回り道をしているような気分になったりと平坦ではありませんでしたが、2年間をかけて心臓血管外科以外の科も勉強させてもらい、また、心臓血管外科の基本や心構えなどをみっちり教えてもらいました。また、血管外科の症例が多い病院だったこともあって、大血管、末梢血管の手術に入るうち、そちらの方面への興味がどんどん大きくなっていきました。

やればできる

これはまったくの私見ですが、心臓血管外科ほど面白い分野はないと思います。どうせつらい仕事なら(仕事とはつらいものです、働くというのはそういうことです)、面白い仕事を選んだほうがいい、というのが持論です。ほかの分野でもそうだと思いますが、なにかきらりと面白いな、興味があるな、と思ったことがあれば、それは今後仕事がつらくなったとき、行き詰ったときの励み、なぐさめになります。
女性にとって、心臓血管外科ほど不向きの分野は無い、というのが一般的な見方と思います。それは否定しませんし、実際、まだまだ性差別の根強い社会であることも事実です。でも、きちんと勤めを果たして結果を残せば、これほど評価してもらえる分野もちょっと無いのではと思います。体力が必要か、という陳腐な質問はよく聞きますが、ふつうに健康なら問題はありません、体力よりもっと必要なのは気力です。
オンオフの切り替えをうまくすれば、週末に買いものや映画に行ったり、平日の夜でも、友達と飲みにいって息抜きをすることも、デートすることも可能です。忙しい合間だからこそ、こうした時間を有効に使うことができ、濃い人間関係も構築できるのではないかと思います。現に、私はもっとも忙しかった国立循環器病センターのレジデント時代に結婚しました。これから、出産だって、するかもしれません。
もし、私は女だから、と迷っている方は、まずは、門をたたいてみれば、とお勧めします。やってみないとわかりませんし、ここで学ぶことは、たとえ将来心臓血管外科へ進まなくとも、ひとつとして無駄になるものはないと思います。

冠動脈バイパス術 戸口 佳代 助教(右)と 松山 克彦 准教授(左)

心臓血管外科の魅力を分かり易く伝えてあげたい

これから入局先を探している皆さんは、将来を決める大切な時期を迎えていると思います。
学生時代は、心臓血管外科領域の勉強に割く時間はほとんどなく、実際に心臓血管外科の手術を見たことがない方も多いでしょう。
そんな状態で入局後、仕事についてゆけるのか、あるいは、そもそもこの分野が自分に向いているのかなど、不安は尽きないと思います。
少し上の先輩として、微力ではありますが、心臓血管外科の魅力を分かり易く伝えてあげたいと常々思っています。いつでも質問、相談にいらしてくだされば、歓迎します。

荻野 均 主任教授との出会い

荻野主任教授との出会いは、国立循環器病センターでレジデントとして勤務した、医師6年目からです。今回、東京で勤務先を探すことになり、先生に連絡したところ、こころよく、東京医大へいらっしゃいというお返事をいただき、再びお世話になろうと決めました。

荻野先生は、心臓血管外科、とくに大動脈外科の領域ではもはや知らない人間はいない先生です。実際、国循で出会う前から、ハンズオンセミナーや、学会の卒後セミナーなどで、その群を抜いた巧みな話術や、スライドの美しさ、面白さに魅せられていたわけですが、実際に一緒に手術に入らせていただくようになり、手術のすばらしさにも触れることができたのは、幸運だったと思います。手術は緻密かつ繊細で、なのにダイナミックと、大動脈外科の魅力が満載です。
いまや手術のため、あるいは術式のデモンストレーションや教育講演などのために日本国内、全世界を飛び回っておられる先生ですが、忙しいなかでも、臨床第一、患者さん第一、という基本姿勢を崩さず、休日や夜などに、ひまを見つけて病棟回診をされている姿には、いつも感動させられます。また、手術中の雰囲気作りも上手で、つらいはずの長時間の手術もチームでがんばっている、という前向きな気持ちにしてくれます。理想の上司と貴重な臨床経験の両方を望む若い先生にとって、これほどの環境はないのではと思います。
また、海外を視野に入れて仕事をしたい先生にとっても、当院で働くことは良い機会を得るきっかけとなることでしょう。

医師として「患者さんを理解すること」の大切さ

最後に、心臓血管外科だけでなく、医師を目指す皆さんにアドバイスです。
患者さんとの信頼関係を構築することは、いつまでたっても難しく、私もまだまだ未熟なわけですが、それでもいつもこころがけていることがあります。
これまで健康を自負してきた人が、突然、病気です、あるいは、手術が必要ですと告げられる。その不安、心細さは、病気になってみないとわからないわけですが、私たち医師はそうした立ち位置で発言することは少なく、昨今の医療事情、説明義務などの関係で、話さなければならないことが多すぎて、こちらの話したいことばかりを押し付けることになりがちです。
しかし、心臓血管外科の手術はともすると命にかかわるわけで、患者さんはその命を預けてくれるということです。私たちは、そのことを肝に銘じないといけない。
患者さんは、私たちに命を預けてくれているのだという大変な使命感、責任感を忘れず、患者さんの心に沿った温かい言葉を忘れないこと、そうした上で、それでも伝えなければならないことはきちっと伝え、また、病気と一緒に立ち向かう姿勢をもちつづけること。患者さんから信頼される医師を目指していただければ幸いです。

 

戸口 佳代 先生に相談してみたい方はこちらまで連絡ください ↓
E-mail : kayotaro@tokyo-med.ac.jp

※日常業務・学会・出張などにより、回答に数日要する場合がありますが、予めご了承願います。

心臓血管外科 鈴木 隼 助教

なぜ心臓血管外科医を選んだのか?

私はもともと大学卒業の時点では外科医になろうとは考えておらず、循環器内科や腎臓内科といった専門性を持ちながらも、全身を診ることのできる内科医になりたいと考えていました。特に循環器内科医になるのならば、今後密接な関わりとなる心臓血管外科の手術や術後管理などがどのようなものなのか、実際に診療に携わりながら学ぶことができるチャンスと考え、東京医科大学八王子医療センターでの初期研修のうちの2か月間を心臓血管外科で研修しました。その2か月間で心臓血管外科というものが、手術に緊張感があり無事手術が終わった時に非常に達成感がある。手術の結果が術直後から実感できることが多く、順調な場合はとても元気になって退院する。内科的な治療が難しくなってしまった症例や緊急性のある症例などの唯一の治療手段である。大動脈瘤のステントグラフト内挿術や心臓の低侵襲手術など今でも治療法の進歩が目まぐるしい科であるということがわかりました。こういったことに非常に魅力を感じ、また自分もそういう手術ができるようになりたいと強く思い、心臓血管外科医を目指すことに決めました。

心臓血管外科医になって

後期研修医1年目は東京医科大学八王子医療センターの心臓血管外科で心臓・大血管・末梢血管と多様な症例を経験し、心臓血管外科として、しいては医師としての基本的な考え方や姿勢を教えてもらいました。後期研修医2年目は外科のローテーターとして、八王子医療センターおよび生育医療センターで胸部外科、小児外科、消化器外科、乳腺科と心臓血管外科以外の科も勉強させてもらい知識の幅を広げることができました。現在は東京医科大学病院心臓血管外科で荻野均主任教授をはじめとする先生方のもと、心臓・大血管・末梢血管のみならず、肺動脈塞栓症に対する血栓内膜摘除術や低侵襲手術などの高度な治療を日々学んでいます。また荻野教授は優れた技術だけではなく非常に豊富な知識と海外の先生方を含めた豊富な人脈があるので、常にグローバルな刺激を受けながら幅広い経験を積むことができていると感じています。

最後に

心臓血管外科は正直忙しい科です。でもそれは患者さんの命に近いところに関わっている科だからこそであり、それは私がそれまで考えていた進路を変更するほどの魅力を感じた部分であります。だからこそ、大変だと思うこともありますが日々頑張れているのではないかと思います。皆さんも自分の進路選択には興味のもてる分野で、自分の目標に向けて頑張れる環境を選択することをお勧めします。そして心臓血管外科に興味があるないに関わらず進路に迷っている人をできる限りサポートしたいと思っているので、いつでも質問・相談してください。