学会・研究会の報告

輸血細胞治療学会に参加してきました

報告者 : 近澤 悠志

近澤 悠志

カテゴリ : 学会 研究会

2017622日~24日の日程で幕張メッセ(千葉県)にて開催された第65 日本輸血細胞治療学会総会に参加してきました。初めて参加した学会でしたが、輸血療法全般についての幅広いテーマが扱われており、非常に勉強になりました。

個人的に印象に残った話題としては、E型肝炎関連のシンポジウムでした。E型肝炎ウィルスが肝炎以外にもギランバレー症候群などの全身における症状を起こしうることが知られていますが、そのウィルスの構造やgenotype別の病原性、輸血製剤からの除去の方法、リスクの高い受血者層についてなどの話題がまとめられており、非常に勉強になりました。飽くまで輸血由来というよりも食物由来の感染が主のウィルスであり、HIV感染症などの免疫機能異常を呈している状況ではより重症化しやすいとされているため、日常診療においても注意していく必要があると改めて再認識しました(保険収載されているHEV-IgAの抗体検査が免疫機能異常の患者さんで頼りにならない可能性を考えると、難しい側面が残るところではありますが)。

また、20169月から日本赤十字社より供給開始された洗浄血小板についての話題で、その意義や適応についての講演がありました。血小板輸血に対するアレルギーを回避するために有効な手立てと思われ、日常診療でも活かしていくべき状況が想定される話題でした。

 自分自身は血液製剤を用いた治療という観点から血友病インヒビターの治療に関する症例報告をさせて頂きました。今後も症例を蓄積してより安全で確実な治療を目指していきたいと思います。

 梅雨の季節ではありましたが、雨は中休みの状況であり、強めの日差し、青々と茂る新緑を肌で感じ、益々元気にやって行かなければならないなと思います。

 

臨床検査医学科   近澤 悠志