Diary  後期研修医日記

2014-2015 HIVセミナー

声の主 : 備後 真登

カテゴリ : 本院 八王子 茨城 関連病院

明けましておめでとうございます。
いつもながら、久々のブログ更新でございます。

今年度も平成27年1月10-11日に、HIVセミナーを開催いたしました。
参加者は関東近辺~沖縄までと様々なところから、約20名も集まって頂きました。


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まずは当院総合診療科の赤石先生に『HIV感染症診断のコツ』の講義から。
どういった症例が疑われるかや、問診などのポイントについて講義していただき、大変勉強になりました。

次は当院皮膚科の白井先生より、『HIV/AIDSに伴う皮膚疾患』についての講義でした。
一般的な性感染症から、それ以外の疾患でも「皮疹からHIV感染症を疑う」場合や、「HIV感染症から皮疹の原因疾患を疑う」ということを中心に講義していただきました。実際の皮疹の写真が豊富で、すごく印象に残りました。

休憩をはさんで1つめの小グループディスカッション(日和見感染症・合併症)が行われました。
症例1はシンプルなPCPの症例でしたが、診断・治療に関しては「他の日和見感染症の可能性は?」、「バクタのアレルギーがでた場合はどうするか?」など、日常でもよく遭遇するような場面で、実際悩むようなことについていろいろな意見交換が行われました。
症例2は同時多発的に日和見疾患が合併した症例で「かなりヘビーかなぁ」とは思っていましたが、受講生の先生方はしっかり勉強されていて問題なくついてこられていたので、大変感心いたしました。

1日目の最後は当科客員教授の青木眞先生によるケースカンファレンスです。
毎年HIVセミナーのアンケートでもこのセッションが一番よかったとの感想が多く、今年も期待以上に勉強になる内容でした。
免疫不全での鑑別疾患の立て方、アプローチの仕方については、いつも感動を覚えます。
ちなみに症例は「結核」でした。


2日目の始まりは、天野教授による「HIV感染症の告知(ロールプレイ)」でした。
実際やってみると中々難しいですが、特に1症例目は妊婦のスクリーニング偽陽性であり、言葉の選び方、どこまで説明するかなどに大変困ったと思います。
しかしそのあたりは受講生の方々は大変優秀で、どこのグループもうまく告知できてたように思います。
最後には天野教授から「コツ」や「告知の望む心構え」なども教えていただきました。

その後は当科の村松助教、当院のMSW藤平さん、HIV感染症専門薬剤師の関根さんにより、過去から現在までのHIV感染症の歴史とこれからの課題、治療薬の変遷、医療制度の成り立ちなどをわかりやすく説明して頂きました。
このセッションは一番質問が多かったように思います。特にHIV感染者の転院や在宅医療など、今後大きな問題となっていくだろうということが主に話し合われました。

2日間のとりとなったのは2つめの小グループディスカッション(主にARTの選択について)でした。
それぞれのART薬の特徴については午前に薬剤師の関根さんからの講義があったのですが、いざやってみると色々な条件があり、選択するのにみなさんたくさん悩まれてました。
患者さんの側からは、「1日1回がいい」、「副作用のないものがいい」、「食事は不規則なので...」などの希望がありますが、医療者側としては、「ウイルス量は?」、「B型肝炎があるから...」、「アドヒアランスに問題がありそうだなぁ」、「他疾患で飲んでいる薬との相互作用が気になる」などなど、実際のARTの選択には悩むことが多いです。
しかし3~4症例やっていくとだんだんコツがわかってきて、積極的に話し合い、適切なARTの選択(選択肢は1つではないですが)にたどりついていたようで、こちらもうれしかったです。


2日間はかなり内容が濃かったですが、小グループディスカッション、1日目の懇親会、ワークショップでみなさん仲良くなって、いいセミナーになったんじゃないかと思います。
アンケートをみても受講生の満足度は高かったようで、また来年からもよりよいセミナーを作っていきたいと思いました。

セミナーに熱中しすぎてて写真はほとんどとれなかったですが、最後に記念撮影で解散となりました。
今後も今回のセミナーで学んだことを地元に還元して頂き、困難症例などは当院と相談しながら診療するなど、HIV感染症診療の和を広げていって欲しいと思います。

最後に、院外からチューター・講師として参加して頂いた青木眞先生、ACCの塚田訓久先生、亀田総合病院感染症科の村中清春先生に感謝したいと思います。

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