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抄読会 2018/1/15

投稿者 : HP管理者

カテゴリ : お知らせ

本日の抄読会では、小児期のいじめと虐待が成人期のメンタルヘルスに与える影響を検討した論文が取り上げられました。イギリス(Avon Longitudinal Study of Parents and Children in the UK :ALSPAC)とアメリカ(the Great Smoky Mountains Study in the USA:GSMS)の大規模研究のデータを対象に、幼少期のいじめと虐待の経験が成人期のメンタルヘルスの問題、抑うつ、不安に与える影響をそれぞれオッズ比を算出しました。その結果、共変量を統制しても、虐待を受けた人、いじめを受けた人、双方を受けた人は、双方の経験がない人と比較してメンタルヘルスの問題、不安、うつ、自傷行為のリスクが高いことが示されました(オッズ比:1.1-5.8)。さらに、虐待といじめのどちらの影響が強いか影響をそれぞれ算出した結果、ALSPACのデータでは、いじめを受けた人が虐待を受けた人よりもメンタルヘルスの問題、うつ、自傷行為のリスクが高いことが示されました(オッズ比:1.4-1.7)。同様に、GSMSのデータでは、いじめを受けた人が虐待を受けた人よりもメンタルヘルスの問題、不安のリスクが高いことが示されました(オッズ比:3.8-4.9)。本論文の抄読を受けて、虐待の影響よりもいじめの影響の方が強いという結果についてなぜそうなったのか、結果の背景や方法について議論されました。また、結果の読み取りにはサンプリングのバイアスや方法論などに注意を払って解釈することが重要である点が強調されました。
 ※ オッズ比は論文抄録よりも割愛して上記文章にしておりますので、詳細は下記論文をご参照ください。 
Lereya et al., Adult mental health consequences of peer bullying and maltreatment in childhood: two cohorts in two countries. 2015 ILancet Psychiatry. 2(6) 524-531. doi: 10.1016/S2215-0366(15)00165-0.