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抄読会 2017/4/24

投稿者 : HP管理者

カテゴリ : お知らせ

本日の抄読会では、双極性障害患者の生殖周期イベント(月経前後、出産後、更年期))が気分の悪化とどのような関係があるかを検討した論文が取り上げられました。オーストラリアの医療機関に通院する双極性障害患者158名に対して回想法を用いた自記式アンケート調査を実施し、参加者の特徴を比較しました。その結果、全体の77%の女性が月経周辺期,出産後あるいは閉経後(更年期)に気分症状の増加を報告しました。また、これらの女性は、気分症状の増加がない双極性障害に罹患する女性と比較して(抑うつと(軽)躁)エピソードの発症年齢が若く、不安症、ラピッドサイクリング、混合気分を併発している可能性が高いことが示されました。さらに、出産エピソードを経験している女性は、特に生理周辺期と閉経後に気分症状の悪化を経験していることが報告されました。このことから、生殖周期イベントは、双極性障害の生涯の経過を通してより気分症状の悪化と関連する可能性が示唆されました。本抄読を受けて、当医局では、まずは連続した気分の変化と基礎体温の関連の検討など、基礎的な知見の研究をしたうえで、生理学的指標を取り入れながら研究を進めることで新規性が高まるのではないか?というような意見や、実際に経口避妊薬の使用によって気分にどのような影響が出るかについてなどの実際の処方に関する疑問があがり、その点について議論されました。

 

Perich, et al. Clinical characteristics of women with reproductive cycle-associated bipolar disorder symptoms. 2017 Aust N Z J Psychiatry 51(2) 161-167.

doi: 10.1177/0004867416670015