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抄読会 2017/3/13

投稿者 : HP管理者

カテゴリ : お知らせ

本日の抄読会では、統合失調症の急性期の治療に対するasenapineの効果をプラセボ群およびolanzapineと比較検討した論文が取り上げられました。本論文は7か国65施設の他施設共同で実施され460名が研究に参加しました。そのうち除外包含基準を満たした者357名のうち、97名がasenapine-12.5mg×2回)群、113名がasenapine-25mg×2)群、101名がプラセボ群、46名がolanzapine(15mg)群にランダムに振り分けられました。

各群の統合失調症に対する効果と副作用を42日間比較・検討した結果、プラセボ群と比較してasenapine-25mg×2)群の統合失調症の陰性症状および陽性症状に対して有意な効果が認められました。また、副作用としてはolanzapine(15mg)群と比較してasenapine-12.5mg×2回)群および群asenapine-25mg×2)群双方の体重増加が有意に少ないという結果が示されました。これらの結果からasenapine5mg×2)が統合失調症に対する最低有効容量であることが示されました。

本論文の抄読を受けて、体重増加の副作用を回避したい対象者(若年女性、糖尿病罹患者など)に対しasenapine5mg×2)を使用することは有効ではないかという点を確認できましたが、一方で、製薬会社のCOIがあり、olanzapine(15mg)群の効果に対して不利な研究デザインなのでは(例えば、プラセボ:asenapine-1asenapine-2 olanzapine の割り付けが2:2:2:1に振り分けられているなど)という疑問や、薬剤の継続性が低い点について言及されていないなど、結果の読み取りの慎重さが求められる論文である点が議論されました。このような背景から当医局では情報収集だけでなくその内容の吟味の重要性についても共有されました。

 

Landbloom, et al. Asenapine for the treatment of adults with an acute exacerbation of schizophrenia: results from a randomized, double-blind, fixed-dose, placebo-controlled trial with olanzapine as an active control. 2016 CNS Spectr online.