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医局カンファランス

パニックカード ver.6 敗血症性ショック

報告者:石崎

カテゴリ : 関連病院

別コーナーでSevere SepsisにおけるHES製剤の話題を取り上げたので、そのついでに、敗血症性ショックのパニックカードを作成しました。SSGC2008と日本版敗血症診療ガイドライン2012をベースにしています。日本版ガイドラインは簡単に読めるので、各自で一度、目を通しておいて下さい。

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戸田 パニックカードver6.009.jpg










HES製剤の違いはひとまず置いといて、VISEPにしろ6SにしろCHESTにしろ、HES製剤は初期のVolume Resuscitationには有効であるものの、その後の腎機能低下や腎代替療法において分が悪く、長期生存率は変わらないということです。
野球で言うと、HESは1,2回の表で先制点を入れたものの、後半の7,8回裏に反撃に遭い、9回同点で試合終了といったところです。最後に同点なら引き分けのはずですが、不思議と『HES is Harmful !』で戦犯扱いです。先制点を入れて5回コールド負けを防いだ功績はどこに行ったのでしょうか? 

この分野のエビデンスはまだまだ不安定で、カードにするのは憚られたのですが、まあ、パニックカードとしてはこんなものでしょう。いざ、敗血症患者がICUに入室して来たときや緊急手術となった時に、どの学年の医者であっても、ある一定レベル以上の医療を実施する、というのが目的です。新しい知見が得られましたら、順次、改訂していきたいと思いますので、積極的な討論をよろしくお願い致します。

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