専門外来

MOS(小口腔外科手術)外来

概要

MOSとはMir Oral Surgeryの略で外来でおこなう小口腔外科手術をさします。
扱う症例としては親知らずの抜歯、埋伏歯(まいふくし:骨に埋まった難易度の高い抜歯)、歯根端切除術(しこんたんせつじょじゅつ:歯の根の先の病巣の切除)、嚢胞摘出術(のうほうてきしゅつじゅつ)、腫瘍切除術(しゅようせつじょじゅつ)など多岐にわたります。
処置の難易度は患者さまによってさまざまですが、いずれも手術であることに変わりはありません。患者さま一人一人にしっかりと予約時間を確保し合併症について十分説明しご理解いただいた上で手術をおこなっています。
また有病者歯科処置においては医学部病院歯科口腔外科の特徴をいかし、他科との連携をはかりリスクを考慮したうえで手術を行います。
症例によっては全身麻酔下での治療をおすすめする場合もあります。
お口の中の気になる症状がありましたらご相談ください。

MOS外来の実績

当外来で行う外科処置で一番多いのは親知らずの抜歯です。月に平均100件以上の抜歯をこなします。顎のなかの腫瘍性病変や嚢胞、口の中にできた腫瘤の切除も行っています。

【親知らず : 図1、2】とは『智歯(ちし)』もしくは『第3大臼歯(だい3だいきゅうし)』とよばれ、顎の一番奥に萌えてくる永久歯のことをさします。通常10代から20代後半にかけてはえてきますが、まっすぐ生えてくることはめずらしく傾斜したり水平になっていたり、口のなかに一部しか歯が見えていない人などさまざまです。
生え方が悪ければ歯ブラシが届かず口の中がはれたり痛みの原因になります。まわりの歯を押し出し歯並びが悪くなったり、かみ合わせが悪くなったりすることもあります。このような場合は親知らずを抜いたほうがいいでしょう

図1:両下顎に埋伏智歯を認める。顎のなかを通る神経と非常に近い位置にあり、抜歯後神経の麻痺が出る可能性があります。

図2:親知らずの抜歯 参)Peterson's Principles of Oral Maxillofacial Surgery  歯が横をむいていたり、骨のなかに埋もれている場合は歯肉を切開したりまわりの骨を削ったりする方法で歯を抜いていきます。術後顔がはれたり、痛みが出たりする可能性があります。

【埋伏歯(まいふくし) : 図3】とは、顎のなかに埋もれたままになった歯のことをいいます。人間は13歳前後までに上下28本の歯が生えそろいますが、人によってはすべて生えそろわず、歯が顎にとどまったままのこってしまう場合があります。症状がない場合は抜歯の必要はありませんが、正常な歯を押し出してしまい歯並びやかみ合わせを悪くしてしまうようならば抜歯が必要です。
当科では術前にレントゲンだけでなくCTを撮影しより詳細な情報をもとに処置を行います。症例によっては全身麻酔下での手術が必要ですが、可能な限り外来で処置し患者さまの負担が少なくなるよう努めています。

図3:上顎の埋伏歯 参)Peterson's Principles of Oral Maxillofacial Surgery

【嚢胞病変 : 図4、5】
嚢胞とはいわゆる袋状の病変のことをいいます。口の中の粘膜だけでなく顎骨内に病変を形成する場合があります。いずれにせよ自然になくなることは少なく外科的に取り除く必要があります。処置の必要性や外来で処置が可能かどうかはレントゲンやCTなど画像検査を行ってからになりますが、症例によっては外来での処置も可能です。

図4:下顎骨嚢胞

 

図5:下唇粘液嚢胞

【腫瘍性病変 : 図6】
顎のなかだけでなく、歯茎や舌に腫瘍性の病変ができるかたもいます。「口のなかにできものができた」と言う症状を訴えられるかたがほとんどですが、口唇や舌にできた腫瘤で切除範囲がすくない場合は局所麻酔下で十分処置が可能です。一度ご相談ください。
悪性腫瘍が疑われる場合には専門的な検査を追加していきます。

 

図6:舌腫瘍

術後写真

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