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抄読会報告

声の主 : 五関喜成

五関喜成

カテゴリ : みんなの抄読会

Feasibility and Safety of Uninterrupted Rivaroxaban for Periprocedural Anticoagulation in Patients Undergoing Radiofrequency Ablation for Atrial Fibrillation : Results From a Multicenter Prospective Registry

 

Dhanunjaya Lakkireddy, MD, Yeruva Madhu Reddy, MD, Luigi Di Biase, MD, PhD,                   Ajay Vallakati, MD, Moussa C. Mansour, MD, Pasquale Santangeli, MD, Sandeep Gangireddy, MD, Vijay Swarup, MD, Fadi Chalhoub, MD, Donita Atkins, RN, Sudharani Bommana, MPhil, Atul Verma, MD, Javier E. Sanchez, MD, J. David Burkhardt, MD, Conor D. Barrett, MD, Salwa Baheiry, MD, Jeremy Ruskin, MD, Vivek Reddy, MD, Andrea Natale, MD (JACC 2014; 63(10) 982-988)

 

【目的】この研究の目的はAFアブレーション中のリバーロキサバン継続投与の有用性と安全性を評価することである。【背景】最適な周術期抗凝固療法はAFアブレーション中および後の出血や塞栓の合併症を最小限にする基本である。AFアブレーション周術期としての継続したリバーロキサバン治療の安全性と有用性は不明である。【方法】我々は、北米8施設において、AFアブレーションを施行する患者の、多施設・前向き観察研究を行った。周術期にリバーロキサバン継続投与患者群は、同時期にAFアブレーションを行ったワルフアリン継続患者群と、年齢・性別・AFのタイプ、患者数を一致させた。【結果】全体で642人の患者が研究に登録され、それぞれのグループに321人が振り分けられた。平均年齢63±10歳で44269%)人が男性で、32851%)が発作性AFで等しく2群間に振り分けられた。ワルフアリン群の患者はややHAS-BLED(高血圧、腎・肝障害、脳卒中、出血の既往・素因、INR不安定、65歳以上、薬物・アルコール依存)スコアーが高かった(1.70±1.0 対 1.47±0.9p=0.032)。47名(7.3%)で出血と塞栓の合併症が生じ、2人(0.3%)で一過性の虚血発作がそれぞれ生じた。術後30日間において、リバーロキサバン群とワルフアリン群との間で、大出血(5人(1.6%)対7人(1.9%);p=0.772)、小出血(16人(5.0%) 対19人(5.9%);p=0.602)、または塞栓性合併症(1人(0.3%)対1人(0.3%);p=1.0)の数に差はなかった。【結論】AFアブレーションを行う患者において、出血や塞栓性イベントの予防においてリバーロキサバン継続治療はワルフアリン継続治療と同等の安全性と有効性があると思われた。

 

 

コメント

本研究はリバーロキサバンのAFアブレーション使用時の有用性と安全性を報告した最初の研究である。リバーロキサバンを継続投与とし、内服時期も11回夕方

としたことで、アブレーション前の抗凝固効果の空白期間を最小限に迎えたことが良い方向に作用した可能性が考えられた。

 

 

 

 

 

抄読会報告

声の主 : 冨山博史

冨山博史

カテゴリ : みんなの抄読会

CORAL研究の抄読会2014 Jan6

(この論説はCAREnetにも掲載されいてます。)

抄読論文

1)   Cooper CJ, Murphy TP, Cutlip DE, Jamerson K, Henrich W, Reid DM, Cohen DJ, Matsumoto AH, Steffes M, Jaff MR, Prince MR, Lewis EF, Tuttle KR, Shapiro JI, Rundback JH, Massaro JM, D'Agostino RB Sr, Dworkin LD; the CORAL Investigators. Stenting and Medical Therapy for Atherosclerotic Renal-Artery Stenosis. N Engl J Med. 2013 Nov 18. [Epub ahead of print]

2)   Textor SC, Misra S, Oderich GS. Percutaneous revascularization for ischemic nephropathy: the past, present, and future. Kidney Int. 2013 Jan;83(1):28-40.

 

 

CORAL試験は、重症動脈硬化性腎動脈狭窄で(血管造影で80%以上狭窄あるいは6080%未満狭窄で圧格差20mmHg以上と定義)、高血圧(2剤以上の降圧薬服用だが収縮期血圧[SBP]155mmHg以上と定義)あるいは慢性腎臓病(eGFR 60mL//1.73m2未満と定義)を有する症例に対する腎動脈形成術・ステント留置術(renal revasculalization stenting: RRVS)の効果を検討した多施設共同前向き研究である(1)。

  被験者は、薬物療法+腎動脈ステントを受ける群(467例)と薬物療法のみを受ける群(480例)に割り付けられ、重大心血管・腎イベント(心血管あるいは腎イベントが原因の死亡、心筋梗塞、脳卒中、うっ血性心不全による入院、進行性腎障害、腎代替療法の必要性の複合エンドポイント発生)について平均3.5年の追跡を受けた。

動脈硬化性腎動脈狭窄に対するRRVSは、腎機能障害増悪を予防し、透析導入回避、血圧コントロール改善、さらに心血管疾患発症予防に有用である可能性が報告されてきた(2)。確かに、RRVSにて腎機能改善、血圧コントロール改善、心不全改善の症例を経験する。しかし、我々がRRVSの効果を認める症例は一部であり、多くの症例はRRVSの効果を明確に確認できないことを経験的に知っている。しかし、RRVSの恩恵を受ける症例を選別する方法がなく、一方、RRVS実施がデメリットである十分な根拠もない。ゆえに、血圧・腎機能が安定した動脈硬化性腎動脈狭窄症例について、その診療方針は十分確立されていなかった(2)

ASTRAL研究は、2009年に報告された動脈硬化性腎動脈狭窄症例における腎機能・血圧に対するRRVSの効果を検討する前向き研究であり、RRVSの効果に否定的な研究結果であった(3)。しかし、ASTRAL研究では、"腎動脈狭窄の程度評価が厳密でなく"、"重症狭窄例は各施設試験担当者がRRVSを実施していた"などの問題が指摘されていた。

CORAL研究は、こうした先行研究の限界に解答を提示した。CORAL研究は腎動脈狭窄の程度はCore laboで確認され、薬物治療群、薬物+RRVS群の割り振りもランダム化して実施された。そして血圧コントロールが不良でなく、かつ腎機能障害がないか、軽度で増悪を認めない動脈硬化性腎動脈症例ではRRVSを実施する大きなメリット(腎機能障害改善、心血管疾患発症予防、顕著な降圧効果)がないことを示した(1)。

一方、高齢者では潜在性の動脈硬化性腎臓脈狭窄の症例は多数存在するとする報告がある(65歳以上では6%に腎動脈狭窄を合併する)(4)。しかし、そうした症例を積極的に検出する臨床的意義は明確にされていなかった。CORAL研究の結果は、高齢者で腎機能・血圧が安定している症例では、積極的に腎動脈狭窄を検出する必要が少ないことも示唆している。

これまでRRVS実施が推奨される症例として、1.血圧コントロールが不良になった。2.腎機能障害が進展増悪している。3.原因不明の肺水腫、心不全を繰り返すなどが挙げられていた(2)。しかし、CORAL研究では難治性高血圧、3か月以内の心不全発症、血清クレアチニン 3.0 mg/dl以上の症例は除外している。ゆえに、CORAL研究はこうしたRRVS実施推奨例へのRRVS実施の妥当性を検証する研究ではない。

CORAL研究の結果を踏まえて我々のできることは

1.              降圧薬で血圧がコントロールされ、血清クレアチニン3.0 mg/dl以下で腎機能障害の増悪のない症例へRRVS実施の必要はなく、慎重な経過観察を行う。そして、血圧コントロール不良・腎機能の増悪を認めた場合にRRVS実施の可否を検討する。但し、今後、こうした症例に対する新たな治療法が開発される可能性もある(5)。

2.              難治性高血圧、腎機能障害増悪、原因不明の肺水腫・繰り返しの心不全の症例については基本、これまでと同様の診療方針となる。但し、CORAL研究ではRRVS施行は薬物治療単独実施群に比べて有意に血圧を低下させるが、顕著な降圧は得られなかった。ゆえに、難治性高血圧症例にはRRVSと腎交感神経焼灼術の併用も将来的に検討する必要がある(2)。また、CORAL研究では3か月以上前に発症した心不全の既往はRRVSの効果への有意な影響因子でないことが確認された。ゆえに、単に心不全の既往のみでのRRVS実施の有用性は否定的と考えられる。原因不明の肺水腫・繰り返しの心不全をRRVS実施の根拠とする場合は慎重に適応を検討する必要がある。さらに、腎機能増悪については血清クレアチニン3.0 mg/dl以上への増悪がひとつの目安となるかも知れない。

 いずれにしてもCORAL研究にて動脈硬化性腎動脈狭窄に対するRRVS実施の可否をIntervention実施医師のみで決定することは終焉を迎えた。今後、動脈硬化性腎動脈狭窄症例の診療には高血圧専門医、腎臓専門医、循環器専門医が密接なコミュニケーションをもって当たることが適切である。

 

文献

3)   Cooper CJ, Murphy TP, Cutlip DE, Jamerson K, Henrich W, Reid DM, Cohen DJ, Matsumoto AH, Steffes M, Jaff MR, Prince MR, Lewis EF, Tuttle KR, Shapiro JI, Rundback JH, Massaro JM, D'Agostino RB Sr, Dworkin LD; the CORAL Investigators. Stenting and Medical Therapy for Atherosclerotic Renal-Artery Stenosis. N Engl J Med. 2013 Nov 18. [Epub ahead of print]

4)   Textor SC, Misra S, Oderich GS. Percutaneous revascularization for ischemic nephropathy: the past, present, and future. Kidney Int. 2013 Jan;83(1):28-40.

5)   ASTRAL Investigators, Wheatley K, Ives N, Gray R, Kalra PA, Moss JG, Baigent C, Carr S, Chalmers N, Eadington D, Hamilton G, Lipkin G, Nicholson A, Scoble J.Revascularization versus medical therapy for renal-artery stenosis. N Engl J Med. 2009 Nov 12;361(20):1953-62.

6)   Hansen KJ, Edwards MS, Craven TE, Cherr GS, Jackson SA, Appel RG, Burke GL, Dean RH. Prevalence of renovascular disease in the elderly: a population-based study. J Vasc Surg. 2002 Sep;36(3):443-51.

7)   Saad A, Herrmann SM, Crane J, Glockner JF, McKusick MA, Misra S, Eirin A, Ebrahimi B, Lerman LO, Textor SC. Stent revascularization restores cortical blood flow and reverses tissue hypoxia in atherosclerotic renal artery stenosis but fails to reverse inflammatory pathways or glomerular filtration rate. Circ Cardiovasc Interv. 2013 Aug;6(4):428-35.

 

抄読会報告

声の主 : 冨山博史

冨山博史

カテゴリ : みんなの抄読会

2013 129日 心血管班 抄読会サマリー

Brief Review White-Coat Hypertension New Insights From Recent Studies

Stanley S. Franklin, et al:  Hypertension. 2013; 62: 982-987

 

概要

白衣高血圧についての最近の研究発表をまとめた総説

#診療へのフィードバック

1.白衣高血圧を疑う症例:高齢者、女性、非喫煙者

2.白衣高血圧と診断されたら(診察室血圧140/90mmHg以上、24時間血圧130/80mmHg未満)、かならずその他の心血管疾患発症危険因子(糖尿、脂質異常症など)の確認。

こうした危険因子が存在する場合は生活習慣改善指導と経過観察方針を立案する。

3.合併異常のない白衣高血圧の場合、予後は正常血圧と同様であり、血圧上昇に関する本人の不安を払拭する。

4.白衣現象合併高血圧の場合、24時間血圧、家庭血圧がコントロールされていれば白衣現象を有さない高血圧と予後は同等。ゆえに、患者さんの診察医師も診察室血圧レベルに惑わされることなく、24時間血圧・家庭血圧での血圧コントロールを実施する。

#本総説の限界

日本と諸外国では医療環境が異なり、家庭血圧の普及が日本に比べて低い、このためこの総説では、白衣高血圧を24時間血圧で診断した論文を主に引用している。我々は、通常、白衣高血圧の診断を家庭血圧を用いて実施。24時間血圧の正常は130/80mmHg未満、家庭血圧は収縮期・拡張期血圧とも5mmHg高い135/85mmHgであることに注意。

但し、白衣高血圧診断に、家庭血圧は何機会測定した平均を用いるかは明確な基準なし。

#今後の研究への方向性

本総説では、白衣現象に伴う血圧変動は心血管疾患発症のリスクを増大させないとしている。一方、診察室血圧自体、24時間血圧自体、家庭血圧自体、の変動はリスクであることは知られており、その重要性が注目されている。これら血圧変動の臨床的意義の乖離をどのように理解し、その機序を解明するかは非常に重要な課題である。

 

カテゴリ : みんなの抄読会

血管班抄読会勉強会原稿

Fowkes FG, Rudan D, Rudan I, Aboyans V, Denenberg JO, McDermott MM, Norman PE, Sampson UK, Williams LJ, Mensah GA, Criqui MH.Comparison of global estimates of prevalence and risk factors for peripheral artery disease in 2000 and 2010: a systematic review and analysis.Lancet. 2013 Oct 19;382(9901):1329-40.

 

#末梢動脈疾患(PAD)合併の有無評価

1. PAD合併を疑う必要のある高血圧症例

65歳以上

糖尿病合併

脳心血管疾患合併

50歳以上で喫煙を含め、血圧以外の心血管疾患発症危険因子を有する症例

2. PAD診断の方法

問診:歩行時の下肢の痛み、冬場の下肢冷感

診察:下肢皮膚色、下肢冷感、膝か動脈、足背動脈、後脛骨動脈の触診

検査:下肢血圧測定(オシロメトリックで十分、Doppler

PAD合併高血圧の診療

.潜在性心血管障害の評価

Poly vascular disease(2つ以上の血管床に動脈硬化性血管障害を有する病態)である可能性が高く30-50%はPAD以外の動脈硬化性疾患を合併している可能性がある。

問診:冠動脈疾患(労作時胸部症状)、脳血管疾患(めまい、意識消失、シビレ)の確認、心血管疾患危険因子保有の確認

診察:腹部動脈瘤、頸動脈・腹部血管雑音、過剰心音(IV音)

検査:心電図、腎機能、糖尿病、脂質異常症のコントロール状況の確認

必要に応じて精査(血流シンチ、超音波検査、MRなど)

2.薬物治療

降圧治療で下肢症状の改善は望めない。症状改善には運動や禁煙が有効

血圧治療目標は140-90mmHg未満

HOPE研究(1万例の高リスク症例)ではACE阻害薬が有用、HOPE研究では症例の40%がPADであった。この研究でPAD症例ではACE阻害薬を使用することで22%のリスクが軽減

日本ではACE阻害薬使用少ない。ARBACE阻害薬は同じでなく、HOPE研究の結果をARBに当てはめるのは適切でない。

さらに、2009に実施されたChochraneのメタ解析ではこのHOPE研究を含めてもPADにどの降圧薬が最も効果があるかは結論できていない。

メタ解析でベータ遮断薬も下肢症状の増悪はきたさないことが確認されている。

抄読会報告

声の主 : 五関善成

五関善成

カテゴリ : みんなの抄読会

Survival After Shock Therapy in Implantable Cardioverter-Defibrillator and Cardiac Resynchronization Therapy-Defibrillator Recipients According to Rhythm Shocked : The ALTITUDE Survival by Rhythm Study

Brian D. Powell, MD,,Leslie A. Saxon, MD, John P. Boehmer, MD, John D. Day, MD§, F. Roosevelt Gilliam III, MD, Paul A. Heidenreich, MD, MS, Paul W. Jones, MS#, Matthew J. Rousseau, MS#, David L. Hayes, MD∗∗

(JACC 2013; 62(8):1674-1682)

 

【目的】この研究の目的はICDの不適切作動ショックに関連した死亡リスクが,基礎にある不整脈によるものかショックそれ自体によるものかを明らかにすることである。【背景】ICDから放出されたショックは死亡率の増加と関係する。不適切なICDショックを経験した全ての患者で死亡率が増加するかは不明である。【方法】遠隔モニタリングシステムであるLATITUDEBoston Scientific社)に2010年から登録されたICD/X|CRTD患者において生存結果を評価した。最初のショック後急性期に生存した3809名の患者から最初のショックの対象となった不整脈を集積し、7名の電気生理学者によって解析した。ショックを経験した患者群はショックを経験しなかった患者群と、植込み時の年齢や、植込み年数、性別、ディバイスタイプを一致させた。【結果】平均年齢は64±13歳で78%が男性であった。ショック無し群に比べ、最初のショックが単形性心室頻拍に対して(危険率1.65、 p<0.0001)、心室頻拍に対して(危険率2.10、p<0.0001)、心室細動/多形性心房粗細動に対して(危険率1.61、p=0.003)行われた患者でそれぞれ死亡率は増加した。対照的に、洞調律や上室頻拍(危険率0.97、p=0.86)およびノイズ/アーチフアクト/オーバーセンシング(危険率0.91、p=0.76)に対して最初のショックが起きた患者では、ショック後の死亡率はショックがなかった群と同等であった。【結語】ショック無し群と比較して、心室性不整脈や心房細動に対して最初のショックが起きた群では死亡の危険性が増加した。一方洞調律やノイズ/アーチフアクト/オーバーセンシングに対する不適切作動群はショック無し群と比較して生存率に明らかな差はなかった。この研究において、最初のショック後の予後不良はショック自体の悪影響というよりはもとになった不整脈により関係していることが明らかとなった。

 

【コメント】

CD作動が予後悪化を引き起こす原因はICD作動自体ではなく、作動する原因となる不整脈が

起きる状態が問題との結果である。しかしDC作動がその後のQOLを低下させることは明らか

であり、DC作動を減らすようなプログラミングを考える必要があることに変わりはないと

思われる。

 

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