診療科の方針

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考える内科医

 内科学の診療は「身体の中で何が起きているのか」をしっかりと考えるのが本来の基本姿勢です。しかし各領域において画像を使った検査や治療が大きく進歩したおかげで、病歴や身体所見、基本的な検査結果という情報を統合して、臓器や身体に何がおきているのかを考える前に診断がついてしまうことが少なくありません。また技術を要する治療が各領域で可能になり、腕を磨くことに重点をおく内科医も増えています。
 腎臓内科領域は幸か不幸か画像検査の発達があまりないために、逆に内科医本来の診療スタイルが大切な役割を果たします。腎臓がつかさどる体液や電解質、血圧は全身状態に大きく影響を及ぼし、また影響を受けますので、腎臓だけでなく必ず全身に起きていることに考えを及ぼすことになります。集まった情報を統合して自分で患者さんの病態を考えることで、自分の言葉で患者さんに説明ができますから良い信頼関係を築く基盤になるはずです。またそのことがエビデンスやガイドラインを鵜呑みにしない患者本位の診療につながります。
 内科医本来の姿である「臓器や身体に何が起きているのか」を考える内科医を育てます。

情報を発信する内科医

 皆さんはどんな医師になりたいでしょうか?偉い先生や学会が決めた診療方法を忠実に守るのも大切なことですが、自分の経験を他の医師に活かして欲しくないでしょうか?情報を受けるだけではなく、発信する医師になってほしいと思っています。発信の方法は学会や論文の発表、本を書いたりテレビに出たりといろいろあると思いますが、発信する前には情報を整理して、本当に価値のあることなのかどうかよく吟味する必要があります。そして少しでもわかりやすく、伝わりやすくするためには一言一句に至るまで推敲を重ねることになります。この過程が医師にとっては何よりも自分の力を高めてくれます。また情報発信する側の考え方を身に着けておくと、自分が情報を入手した際にその情報を吟味することができるようになります。医療にかかわる情報量は指数関数的に増え、また情報を得るデバイスも発達したため、診療に携る際にはあふれる情報の取捨選択が必要になります。よい診療をするために情報の扱いが上手な内科医になりましょう。

組織を支える内科医

 近年チーム医療の考え方が浸透していますが、腎臓内科医が担当する人工透析療法はそれが最も普及している領域です。それぞれの職種が特性を生かして患者さんのために全力を尽くしますが、医師はその中で自然な形でリーダーシップをとり、プロデューサーとしてチームの方向性を決める役割を果たすことが多くなります。またチームの顔として、責任者として、常に人に見られる存在です。これは診療チームだけではなくて、病院やクリニックという診療施設全体、地域の医師会など社会においても同じ役割が求められることになります。ではリーダーに求められるのは何でしょうか?場合によっては決断とか判断とか勇ましいことも必要ですが、普段もっとも大切なのは自分自身や自分のチームが「ルールを遵守して他人に迷惑をかけない」ことです。ともすれば調和できないことのある医療施設の中で組織を支えている自覚を持った内科医に育ってほしいと思います。